居酒屋妄想日記 ３冊目

静かな家 緑side ページ3

〆．



Aは、弱い姿を見せない。



全く、ではないけれど、ほとんど笑顔しか見ない。



だから、この前風邪引いた時も含め、こうやって弱った姿を見ることが出来ると嬉しいんや。



………あ、健康なんに越したことはないねんで？！



でも、無防備な寝顔が可愛いて可愛いてしゃあない。



緑「………家族は、今日もおらんのか」



静かな家に、Aの裏側を見た気がした。



や、でもお兄さんおるよな…？店来てたもんな？



帰り遅いとかなんやろか。



………Aは、どんな家庭で育ったんやろか。



とりあえずAは寝不足なんが関係してると思い、ゆっくり寝かせることに。



キッチンお借りします。



一応充実している調理器具や食材に少し驚きつつ、Aが朝に目覚めた時軽く食べれるものを作ることにした。



緑「…………なんやろ、この違和感」



キッチンの灯りだけでリビングを見るけれど、それで十分なくらい生活感がないことは明らかやった。



綺麗な部屋、って話やない。



だからと言って今どうすることもできない。



俺は野菜を洗うために水を出した。



『ただいま〜』



緑「！？」



ガチャ、と音がして。



高いけれど男の声が聞こえてきた。



この声って確か………Aの双子のお兄さんやっけ？



『ありゃ、Aかと思えば……居酒屋うえすとのキッチンの人やんな』



緑「あ、そうですけど…」



『絶対おにーさんのが歳上やん！タメで話しましょ』



大きな荷物をソファーの横に放り、ニコニコとキッチンに寄ってくる。



『何作るん〜？俺もお腹減った！』



緑「ああ、Aがちょっと体調優れんから、食べるのしんどくないもんを……」



『…………Aが？』



あ、しまった。



そっちを先に……てか、なんで俺がここにおるんかを早く言わなあかんかったな。



緑「A、今日一日ふらふらで。熱はないし風邪やないと思うんですけど」



『……………家に上がるんは、Aの許可得てる？』



緑「………得て、ないですね。前も上がったんで、つい」



俺としたことが。



慌ててたら、Aのお兄さんはケタケタと笑い出した。



〆．

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