【FGO】人に成る (ページ28)

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episode 25：揺らぐ心､見えざる侵食ページ28

レイシフトから数日､事態は悪化することなく改善することもなく､時々湧き出る小者の相手をして過ぎていった｡

｢オロチオルタさんは何がしたいのでしょうか?｣

｢こうも何もないとかえって怪しいな｡どこかで術式の展開を進めているのかもしれない｣

"ボクも同じことを考えた｡けどめぼしい所の魔力値を計測しても特に変わったところはなかった"

現地にいる私たちサーヴァントも特に変わった様子は感じ取れない｡けれど彼女が何もしないわけがない｡特に狙われている私は気を引き締めていなければいけないのだ｡

分かっている｡けれどなぜが､治安が良く平和な街を､少年少女の楽しげな声が響くこの街をここでずっと見ていたい気持ちになってしまうんだ｡

ここは特異点だ｡本来あるべき歴史ではない｡

私たちはなぜここに居る?私はなんのためにここに来たのか?異物を取り除いて歴史をあるべき姿に戻すためだろう｡

思えば思うほど景色も声も鮮明になっていく｡

とうとう私はおかしくなったのだろうか｡

冷たい部屋の中で夢見た世界を手放したくないなんて_____

｢オロチ?｣

マスターの呼びかけで我に返った｡振り返るとマスターが心配そうな顔をしている｡

｢いえ､なんでもありません｡行きましょう｡暗くなってしまいます｣

誰より先に歩き出した｡

あの頃の夢のことは考えないようにしよう｡今は特異点修復が優先だ｡