【FGO】人に成る (ページ19)

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episode 17：宴ページ19

カルデアでは不定期に海賊系サーヴァント達主催の宴会が催される。

今日も建物内に陽気な笑い声が響いている。初めは関わるまいと避けていたが､日も経って警戒心が薄れたのか近くを通りかかってしまい､私もそこに巻き込まれてしまった。

目の前になみなみと注がれた酒が置かれるが勿論酒とも縁がなかったためとても手を出す気にはなれなかった。

｢なんだいアンタ､飲まないのかい?それともあれか､下戸ってやつかい?｣

隣のフランシス・ドレイクさんがジョッキ片手に言ってくる。下戸の意味はよく分からないがなんとなく馬鹿にされた気がした。

見返してやろうと思い私はグラスの中身をくいっと飲んだ。

頭がぼーっとする。目眩のようなものではなくぽわぽわと浮かんでいくような。嫌な感じはしない。寧ろ心地良いくらいだ。

さらに心地良さを求めてかグラスを運ぶ手が止まらない。遂には一杯分を飲み干した。

｢なんだ飲めるんじゃないか。さぁさぁ宴はまだまだこれからだよ!｣

彼女がジョッキを掲げると周りも乗っかって更に騒ぐ。酒の肴を頼まれたのかお盆を手にした赤い弓兵とマスターが苦笑いでこちらを見ている。

宴は夜更けまで続く。飲み干され散乱する酒の缶､積み上げられた食器の塔､途切れることのない笑い声。

騒がしくも楽しい空間。酒が入っているせいかいつもより私の表情筋も緩む。

ふとこんなことを思った。

もし生前あの村で家族や他の人達とこんな風に過ごせていたら､どれほど良かっただろうか。

もし､もしも､あの頃をもう一度やり直せたら＿＿

そう思った瞬間酔いが覚める程の激痛が右目を襲った。

抉られるような痛みにグラスを落としてしまった。割れる音でこちらに気づいたマスターが駆け寄ってくる。

｢オロチ!どうしたんだ!?｣

目の痛みを訴える。少し落ち着いて右目を押さえていた手を離すと､掌は血で真っ赤になっていた。

駆けつけたナイチンゲール婦長が診察にはいるため降ろされた前髪を上げる。私の視界は晴れることなく､寧ろ視界の半分が無くなっている。

そんな中婦長から驚くべき言葉を聞かされた。

｢眼球が…無くなっている…!?｣