episode 15:恋敵1 ページ17
その日は1通の矢文から始まった。
筆で書かれた“果たし状”の文字。封を開けるとまた筆で短くこう書かれていた。
“本日午前九時 トレーニングルームにて待つ”
今の時間は午前6時。こんな早朝から、しかも矢文とは随分と手が込んでいる。
実を言うと差出人は大体検討がついている。理由までは分からないが。
かなりゆっくり身支度をし、一番乗りで朝食を済ませトレーニングルームへ向かった。
そこで待ち構えていたのは扇子をもてあそんでいる清姫と…ランサークラスの彼女だった。
「おはようございます清姫。何の御用でしょうか?」
「何のも何も、昨日のことを忘れたとは言わせませんよ!」
あぁ、出来れば忘れたかった。
遡ること昨日の昼頃、バレンタインデーだということで女性陣が楽しげにチョコレートを作っているところに私も強引に参加させられ、最終的にはマスターに食べてもらえたということだ。
マスターを愛してやまない彼女は余程気に入らなかったのだろう。妬み嫉みの篭った視線が痛かった。が、まさかここまでとは。
「本当は私の手で捻り潰してやろうと思ったのですが、私では全て燃やしてしまうので、代わりにランサーの私に仕留めてもらうことにしました」
「本当はバーサーカーの私も葬ってしまいたいのですが、利害が一致したので一時休戦です」
「いや、私は別にそういうつもりでは…」
「問答無用です!」
木の
「…ならこちらにも武器を。そうですね、これがいいでしょう」
置いてあった木製の短刀で彼女と対峙する。
「いざ、尋常に勝負!」
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作者名:巳月 要 | 作成日時:2017年12月25日 22時