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1-2:魔人と聖女、そして2人の少年 ページ5

You side


礼拝堂の中には、1つの人影があった。私の声を聞いてこちらを振り返ったその人は、黒い髪を肩辺りまで伸ばしていて、どこか奥ゆかしい雰囲気を感じる。おまけに特徴的なモコモコの白い帽子を被っていて──あぁ、なんだ。あの人か。


「……もう。フョードルさん、朝から1人で何をなさってるんですか?」


「おや?これはこれは。昨日ぶりですね、Aさん」


どこか儚げな雰囲気を纏った男性、彼の名前は「フョードル」さん。彼についての詳しい事はよく知らないけど、良い人であることは確か。

昨日ぶりなら別に言わなくて良いのでは……?と言いそうになった口を必死に閉じて、私は杏那くんと沙紗くんを彼の前に連れていった。


フョードルさんは2人を見るなり、彼には珍しく目を少し見開いた。そして、そのまま首と瞳だけを動かしてこちらを見てきた。怖い。


「ふむ……?Aさん、その子達は?」


続けて「まさか、あなたのお子さんですか?」とからかうように言った彼は、愉快そうに笑って紫色の瞳を細めた。それはもう、これまで見たことも無いような妖艶さだったのを覚えている。……さっきはちょっと驚いていたくせに。


「そんな訳ないじゃないですか……。たまたま教会の前で会ったんですよ。ついさっき、この子たちにパンでも食べさせてあげようと思ったばかりなんです」


「ほう。……相変わらず、あなたはお優しい方なのですね。僕みたいなものは、あなたに近付く事さえ憚られるくらい」


「そうなんでしょうか?私なんかの相手をして下さるフョードルさんも、十分慈愛の心を持っていらっしゃると思いますけれど……」


フョードルさんにそう伝えると、彼はいつも通りの怪しげな笑みを浮かべて、まるで愛玩人形でも見るような目でこちらに微笑みかけてきた。


「あー、あー。コホン!仲が宜しいのは素晴らしい事ですがーー……」


「あ!もしかしてお姉さん、そのお兄さんと恋人同士なのか!?」


折角杏那くんがオブラートに包んでくれたのに、沙紗くんは悪気なくそれをぶち壊してしまった。これが子供の可愛い所で、怖い所でもある。杏那くんも自分の片割れの馬鹿さ加減に驚いている様子。
一方で私は、フョードルさんの顔色を伺っていた。彼は唯一、私の教会に通ってくれる人なのだ。嫌われる訳にはいかない。


「さ、沙紗くん……!私と、このお兄さん……フョードルさんはそんな関係じゃないからーー」


「ふふ、正解です。君の言う通りですよ」

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びねつ(プロフ) - 夜のお魚さん» お褒めいただきありがとうございます……😭😭そう言って頂けると凄く嬉しいです🥲応援を糧に更新頑張ろうと思います‼️👍 (2月27日 20時) (レス) id: 50028a7fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:びねつ | 作者ホームページ:-  
作成日時:2024年2月25日 20時

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