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人形は目覚めた、目の前の捕食者はニタリと笑う。 ページ9

「…これ位かな。」

「ありがとう、姉さん。」


手当てされた手首に目を落とす。

異常な程包帯が巻かれていた体に月は少し震えた。

この組織の古参の部類に入る月でさえ、

こんなに傷を負ってまで組織に尽くそうとする者は初めて見た。

しかも女だ。


(洗脳でもしたのかな…)


不穏な考えをしてしまい月はハッとし首を振った。


(あんなのされたら流石に今頃死んでるよね。)


その組織の洗脳教育は酷過ぎて死人が出る程だった。

彼女が組織に入ったのはまだ5歳だった。

周りの5歳が洗脳教育や実地訓練等でバタバタ死んでいくのに

彼女は平然と、当たり前のように生きていた。


(『素質』、またの名を『特殊』…其れを持ってるだけでこんなに違うとは…
やっぱ自然体(ナチュラル)は凄いな…)


月は席を立ち余った包帯を棚に入れた。

大きな棚には包帯と薬と眼帯、数枚のタオルしか入っていなかった。

引き出しには着替えが入っていた。

全部同じ服だった。


「龍巳ちゃん、私行くからね。」

「すんません遅くまで…ありがとうございました。」

「いいのいいの、何かあったら呼んでね。」


バタン、と扉を閉めて月は私室へ向かった。

大きな机の上に人形が横たわっている。


「ツハラちゃん、また目だけ取って行ったの?」

「綺麗だったんですよー、翡翠色で光に当てるとキラキラ光るんです!」


ツハラエルはずるりと落ちた縞模様の靴下を上げる。

傍にはテディベアと瓶が置いてあった。

薄い青緑色の液体の中に丸い物が浮いている。


「確かに綺麗、しかもこの子生きてるじゃん!珍しいね、いつもは死んでるのに。」

「たまには新鮮なのをと思って。」

「そういう時決まって龍巳ちやんが絡んで来るよね。」


ツハラエルはぴくりと反応した。

月は図星か、と笑った。


「見たの?」

「…」


無言の肯定に月はやっぱりと言って俯くツハラエルを撫でた。

恐ろしく手が冷たくてツハラエルは身震いする。


(死人と同じ体温だ。)


喰種とはそういう生き物なのだろうか、とツハラエルはゾクゾクする。

また研究対象が増えたからだ。


「アレは誰にも言っちゃ駄目だからね、言ったら…分かってるよね?」


ツハラエルは頷く

其れを見届けた月は断末魔と共に今宵の晩餐を平らげた。

軍警と獣人と悪魔は彼女を追う、誰が最初?→←カップが割れて、破片が飛び散って消えた。



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龍巳@キチガイ - 感想はこちらのコメント欄にてお願いします、TwitterのIDを載せたりするのは絶対にやめて下さい、評価は星とTwitterのふぁぼでお願いします。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年10月6日 22時

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