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その笑みは何かを溶かした。 ページ29

「大丈夫すか。」

「うん…敵なのに、ごめん。」


蒼空音を起き上がらせると龍巳はふぅ、と息を吐いた。

そしてまた歩み出す。


「何の真似っすか、キルティアさん。」


突きつけられた刃にぴくりとも反応しない、

冷静さが欠けないのは流石だ、とキルティアは小さく尊敬した。

自分だったらすぐに我を忘れて攻撃するのに。


「ぴゃっ!意味はないよ、ただ…」


痛みがするはずなのに龍巳は痛みを感じない。


(冷たい。)


小さな痛みに気付かなくなってしまった龍巳の異常な感覚、

キルティアは其処がまた良いんだよね、とふっと笑う。


「遊ばない?」

「嫌だよ、怪我人優先。」


つまらなそうにするキルティアに龍巳は言う。


「ひと段落したら遊びますから…」

「駄目!今!!」

「…何で。」

「前も断られたし…私は死神ちゃんと遊びたいの!」


文句を垂れるキルティアに龍巳は遊ぼうかとも考えたが止めた。

鎌が手元に無い、それにまだ怪我人が残っている。

一番は面倒くさいという感情が強いが…


「やっぱ、無理っす。」

「えっ、待って待って死神ちゃん、ね?ちょっとだけだからさ!」

「だーめだっつの。」


キルティアの背後にはいつの間にかクラウンが立っていた。

クラウンも包帯だらけだがまだまだ元気そうだった。


「クラウンとはもう遊んだもん!」

「俺がいつお前と遊ぶっつったよ、龍巳、はい。」

「あ、包帯…ありがとうお兄さん。」


包帯を袋に入れると龍巳はフラフラと怪我人の方へ向かう。

其れを見届けようとしたクラウンは考えた。


(龍巳あのままじゃ倒れるんじゃね?)


そう思うと龍巳に言った。


「龍巳ー、交代するよ?」


クラウンがそう言うと龍巳はえ?と聞き返した。

そして少し考えると龍巳はまた口を開いた。


「ごめん、お願いして良い?」

「おう、任せとけ。」

「あっ、私も手伝うー!」


キルティアがクラウンに追い付くと二人は怪我人の方へ向かう。

其れを見届けた龍巳はとある人を探し始めた。

其処に倒れたまま笑い合う存在を遠くから見詰める。→←荒廃と瓦礫、喧騒の中で再び歩み出す。



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龍巳@キチガイ - 一部名前を変えている方もいらっしゃいます、コメント欄で名前を晒すのも止めて下さい。中傷、無断転載も同様です。ルールを守って下さいね。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 感想はこちらのコメント欄にてお願いします、TwitterのIDを載せたりするのは絶対にやめて下さい、評価は星とTwitterのふぁぼでお願いします。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年10月6日 22時

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