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軍警は何も見付けられなかった、何かは見付けた。 ページ12

「paints red!」


アストがそう叫ぶと指先から炎が溢れ出す。

幾重にも重ねた的が一瞬で塵に変わる。

色が赤く残っている。


「何してるの?」


友人はカーディガンに目を包みアストに珈琲を渡す。

ミルクがたっぷりと入ってはいるが珈琲牛乳と珈琲の苦味は天と地ほどの差がある。

アストは一口飲んでにがっと呟いた。


「…新しい色、見付けたの?」

「いいや、それに最近やっと15色になったんだよ?充分じゃん。」


すると友人は「まだまだだね。」と言い珈琲を一口飲んだ。

アストはむっと怒った顔をする。


「あんた強いんだしさ、もっと強くなりなよ、下に越されるよ?」


それは嫌だがアストは何も言わなかった。

何も言えなかった。

強くなんてない、寧ろ弱い。

精神力を鍛えてもあの"死神"を前に一歩も動けなかった。

怖かった。

逃げたくて、逃げたくて。

でも逃げる勇気なんて…

しかし"死神"があの子と判明した今、捕まえなければ。

長い長い鬼ごっこをここで終わらせよう。


「アストー、あ、貴方も居たんですね。」

「きーさん…何しに来たの?」

「差し入れ。」


手渡された籠の中にパンが入っている。

アストはそれを友人に渡した。


「皆に休憩って伝えておいて。」

「はーい。」


友人が遠ざかるときーさんは堅苦しい敬語を解く。

そしてアストが先程破壊した的を見て笑った。


「また腕上げたんだ。」

「…まだまだだよ。」


友人の言葉を借りてアストはサンドウィッチを頬張った。

美味しい。

アストは隣でもぐもぐとクロワッサンを食べるきーさんを見た。


(あの子、きーさんみたいな美人が好きなのかな。)


変な事を考えてしまい顔が熱くなる。

きーさんは其れを見て更に笑った。

堪え切れなかった様だ。


「笑わないでよ。」

「ごめんって、アストは例の子の事考えてるのすーぐ分かっちゃうね。」


その言葉にアストは溜め息を吐いた


(一回死ねばいいのに、こいつ。)

侵入者は刃を突きつけられても平然としていた。→←獣人は爪を舐める、見逃したら最初から。



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龍巳@キチガイ - 一部名前を変えている方もいらっしゃいます、コメント欄で名前を晒すのも止めて下さい。中傷、無断転載も同様です。ルールを守って下さいね。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 感想はこちらのコメント欄にてお願いします、TwitterのIDを載せたりするのは絶対にやめて下さい、評価は星とTwitterのふぁぼでお願いします。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年10月6日 22時

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