【HQ!!】長身リベロ女顔少年は今日も滑る。

滑走53 ページ15

10-12


あーあ


あと3点取れば、勝てる。


けど


「ブロック間あいてるぞ！」


「つなげ、つなげぇ！」


限られた青春の時間が、終わってしまう。


(あーあ、終わっちゃうのか、これも)


乾いた喉が張り付いて、真逆のべったべたユニフォームがべったべたの肌に張り付いて。


そのどれもが、煩わしくて、愛おしい。


全てのものは、終わりがあるからこそ美しく輝き、いつまでも尊いものになる。


今まで何度だって「終わり」を通り過ぎて来たのに。


情けない話、泣きそうだ。


終わりは、くる。


なら、その終わりをとてつもなく良いものにしたい。


だから。


「絶対勝つ…！」


もう何度言ったか分からない言葉を言って、自分の体にすりこませる。


絶対勝つ、勝つために何をしなければならない？


絶対勝つ、勝つための指示はなんだ？



絶対勝つ、俺は、そう言えるほどの努力をしてきたはずだ。



14-13


あといってん


あと一点、というのは、簡単なものではない。


けれど、そんなに長い時間はかからない。


サーブカットを綺麗に返され、松川さんがブロックをとぶ。


うまくひねって、そこから俺のところへとんできた。


「A！」


聞いたことのないほど大きな声の英。


のびるクロスは、コーナーへ。



たぶん、俺じゃなかったらとることができないボールだ。



腕を、限界にのばす。


届け、じゃない。


ーー……届く。


「おいっかわ、さん！！」

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