体術 ページ8
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術式を教えて貰ったあの日、まぐれで術が発動出来てしまった。
でも当然呪力とは何か、どうやってコントロールしていくのかは学ばなければならない。
その合間に体術の訓練もしていく訳だけど
「うぅ〜〜〜っ…」
「泣くな、男の子だろ」
「だって痛いし…っ!」
ぐずぐずグスグスだらしないったらありゃしない。
でも悪いのは俺じゃないから。五条先生だから。ぶん投げられて畳で肘擦りむいたのなんて人生で初めてだ。
畳で擦りむくと普通に擦りむくのの10倍くらい痛いと思うんだ。(暴論)
そもそも擦りむいた事なんて片手で数えられる程度だけれども。
グズグズと泣いてしゃくり上げていたら五条先生に背中を摩られて、次いで家入さんに揶揄うように笑われた。
「どこぞの坊っちゃんじゃないんだから。ほら、もう終わりだよ」
「ありがとう、ございます…うぅ…」
「あっはははは!ホントに泣き虫なんだねAって!」
「ううぅうぅっ…!!なんで知ってんスか!」
「弟くんに頼まれたの。兄さん泣き虫だからお願いします〜って」
「要〜っ………帰りたい」
ぽそっと呟くように言えば五条先生がまた爆笑して、恨みを込めた視線を飛ばしてやった。
___この怪我、これは少し前に遡る。
*
「Aの術式は強力だけど、多分連発はキツい。術式で相手を翻弄しつつ体術とかで叩くっていうのが基本になるよ」
「体術…」
「恵」
「はい」
パキパキと指を鳴らしていた伏黒が、五条に呼ばれて立ち上がる。
何が始まるのかと目を瞬かせるAの前で、伏黒が思い切り振りかぶって踏み込んだ。
驚愕に目を見開くAを横目に五条はその拳を軽く往なし、伏黒は次々に蹴りや拳を入れていく。
それは伏黒が転がされた事でひと段落つき、Aはそこで漸く息を吐いた。
「こんな感じ。A、何か今までやった事ある?」
「えっと…護身術と、空手と、弓道と剣道。あと射撃」
「え、なに。英才教育?」
「そんなんじゃない」
ギラリとした視線。
あの時と同じだ、と伏黒が肩を強張らせる。
けれどそれは一瞬で、前と同じようにすぐ空気は切り替わった。
「ま、いいや。じゃあ空手の要領で構わないからおいで。僕から一本取れるようになるのが目標ね」
「怪我したくない痛いのやだやだやだやだ」
「イヤイヤ言わない!はいおいで!」
寒暖差にげんなりする伏黒に気付きもせずに、2人は組手を開始した。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時