宅配ピザ ページ39
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宅配ピザが美味しいって初めて知った今日この頃。どうしよう感動した。
目への刺激は極力避けた方が良いと言う家入さんの計らいで、ただいま俺は目元を包帯で覆われている。
「一色、もう一枚いるか」
「ん。ありがと恵」
秋を感じる風に髪を攫われながら、ベッドの中にいる恵の布団の上にピザを広げてむぐむぐと頬張った。
ペットボトルの水を煽った所で釘崎の手がさながら姉のように頭に引っ掛かったらしい葉っぱを摘んで行く。
「そういや一色、礼言おうと思ってたんだ。ありがとな」
「お?」
「特級呪霊に術式掛けてってくれたろ?助かった!」
「でも途中で切っちゃったし。ごめんな、大丈夫だったみだいだけど」
「気にすんなよ。切れてからは東堂が術式使ってくれたし」
「そっか、良かったぁ…」
柔らかいとは言えないマットレスにボフンと顔面を預ければ、良くやったなんて言いながら釘崎にぐしゃぐしゃ頭を掻き回される。
あ〜…お姉ちゃん普通に欲しい
猫の様な気分で寛いでいたら、突然スマホが震え出した。
「え…一年4人でこんなゆっくり出来る時間を邪魔するの大人って」
信じられないと思いつつ音の根源へと渋々手を伸ばし、いつもの記憶を頼りに画面をタップする。
「ちょっと伊地知さん!」
『え、えぇっ!?』
「任務だろ?任務の話でしょ?分かったよも〜…悪い、ちょっと出てくる」
「え、一色って1人で任務行くことあんの?」
「え?俺もう次2級だし」
「ええぇーーっ!?!」
「はあぁーーっ!??」
「今更…」
驚く悠仁と釘崎、そして何言ってんだお前らの顔をする恵にヒラヒラと手を振って部屋を出た。
「お待たせ〜。…あれ?悠仁は?」
電話を終えて扉を開けたら秋の涼しい風を感じて。
いつも真っ先に返事を返してくれる悠仁の声が聞こえなかったから尋ねれば、釘崎の呆れた声が返ってくる。
「京都のゴリラと一緒に出てったわよ」
「……窓から。へえ…」
「…馬鹿だよな」
視界塞いだまま数時間過ごしてみて分かったんだけど、思ったより怖くて不便な割にまあ何とかなるものだ。
室内であれば物と物との間隔を歩幅で測れば良いし、視覚が無いと他の感覚機関が割増で作用する。
小さく5歩程度歩いて下へ手を伸ばし、椅子の座面を確認して腰を下ろした。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時