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一件落着 ページ37

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「あれ、特級でした。それで悠仁達と別れてから暫く目ぇ開いてて…」


「そっか。…一先ず、頑張ったねA。良く判断して戻って来てくれた。凄いよ」



軽く抱き寄せて背中を叩けば、恐らく無意識にだろう入っていた体の力がふっと抜ける。

深く息を吐き出して頭を預けてくる可愛い生徒を優しく宥めて体を離し、再び目元に手を載せてやりながら頭を回す。


帳を破るのに連れて行くか否か。

もう術式は使わせない方が良い。

でもAは術式が無くても戦えるように鍛えてあるし、独りで残して行くのも心許ない。


目元をぐにぐにと揉んでいるAを見遣ってひとり頷き、六眼を隠す目隠しを抜き去る。



「A、これ着けてな。光が入ってこない分楽になると思う」


「えっ。ありがとうございます」



もぞもぞと目隠しを着けたのを見届け、手を取って立ち上がらせた。



「よしA、トぶよ」


「はっ?」









ーーー









「A、目は大丈夫そう?」


「は、はい。あ…悠仁だ」



帳が上がったその真上、Aは五条に背負われていた。



「葵と接触して随分レベルアップしたみたいだし、取り敢えずそっちは平気。A、掴まってて」



背負われたAが少し目隠しを上げて虎杖にヒラヒラ手を振り、五条に言われてぐっと肩を掴んだ。


五条がその長い指を組んだ次の瞬間には靴の底が石畳についていて、Aは内臓が浮き上がるような心地を味わいながら地面に降り立った。

と、何かが潰れる音と石が擦れるような音、人の呻き声が聞こえてAはビクリと体を強張らせる。

目隠しを上げようとしたその手を五条が掴んだ。



「見ちゃダメだよ」


「は、はいっ…」



言葉は柔らかいのに有無を言わさぬ声音に萎縮してしまって、コクコクと何度も頷く。

血のにおい…

側に五条の気配を感じながら手を握りしめた時、すぐ近くに物凄いエネルギーを感じて思わず2、3歩下がる。



ゴゴゴゴゴ…



と文字通り地を震わす轟音が鳴り響き、Aは不安から五条の名前を何度も呼んだ。



「先生っ、先生?五条先生!ねぇ先生ってば、」


「大丈夫。終わったよ、A」



そのエネルギーが離れた所で漸く五条が声を発し、少し下にある肩をポンと叩いた。



「一件落着!」


「はあぁぁぁ〜〜っ」



激動の1日は、こうして幕を下ろしたのである。


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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時

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