戸籍 ページ28
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『言った通り、私は6年前に色雲の名前を捨てた。戸籍も全て変えて、家族との関わりを断った。それと同時に実はフランスへ越してね。妻が亡くなった時に帰って来たんだ』
『…つまり?』
『この6年間、要くんの面倒を見て欲しいとAくんから電話があるまで私は色雲の誰とも連絡を取っていなかった』
連絡手段は全て断っていたから当然なんだけど
そう続いた淳司の言葉に彼の言わんとする事が分かってしまって、思わずこめかみを揉んで溜め息を吐いた
___のが丁度1週間前。
Aの苗字は色雲である筈なのに、なぜ一色を名乗っているのか。
一色は叔父である淳司の結婚後の苗字でも無かったのだから、一体どこから来たのか。
今(伊地知に)調べ(させ)ているところだけど
「おい伊地知ィ!Aの事まだ何も分かんないの??遅くない?ねえ??」
「ヒィッ!あ、あのっですね、えっとぉ」
「なに?ハッキリしろよコラ」
「はいぃぃいっ!」
あんまり遅いのでせびりに来た。
伊地知は優秀だ。僕が直々に(脅して)頼んだ事にここまで時間を掛けるようなやつじゃない。
何かあるのかと五条の六眼を露出させて見せれば、伊地知はますます竦み上がって慌てた様子でパソコンを開いた。
カタカタと何かを打ち込んで、対面のソファに座った僕へ画面を向ける。
「その…色雲さんというお家については分かった事も多いのですが、戸籍上、一色くんは櫻内淳司さんの息子という事になっているんです」
「はあ?」
「この戸籍を鵜呑みにするのなら、彼の本当の氏名は櫻内A。ですが五条さんは実際に櫻内淳司さんに会っていらっしゃったんですよね?」
「ああ。実際に話して、淳司の兄の息子があの兄弟だって言ってたよ」
眉を顰めて画面を睨み付けながら答えれば、伊地知は深刻そうな顔で頷く。
「それが事実で間違いないかと思われます。櫻内淳司さんの兄、色雲清司さんの御子息がAくんと要くんです」
「…はぁ。聞くまでも無いけど、つまり?」
「恐らく一色くんは…、」
ーー自分で戸籍を書き換えている。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時