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* 主side *
「ごめん、それとありがとう。」
ホームランのあと目を合わせなかった事、その後の相手に対してフォークを決め球として投げ続けた事、そして今のインタビューの事、全てのことに対しての謝罪と感謝らしい。
チームメイトも監督もコーチも僕たちを見てるし、まだ球場内はたくさんの人の声で溢れている。
「打たれたこと気にしてますか?」
「...当たり前やろ。もっと打者のことを観察してたら打たれんかったかもしれへんのに。」
もう捕手として失格だと項垂れている誠司さんに何て言葉を掛けようかと考えていると、近くで見ていた阿部さんが代わりに返してくれた。それと他の選手の野次も。
「...確かに相手のことをもっと見ておくべきだったな。
でもAが同じ球を要求してたのはお前を信じてたからだろ?」
「なに落ち込んでんだ。勇人みたいに釘を刺しておくべきだったか?」
「この間のAみたいに泣いても可愛くないからな!」
誠司さん落ち込んでるのに野次飛ばすのやめてください、可哀想です。
最近何かとからかう人が増えていて止める僕の身にもなって欲しい。
まぁそれでも周りから落ち込みすぎだと言われているのにも関わらず、一向に立ち直らない誠司さん。
「もう気にしないで下さいよ。」
「そんなん無理。もう終わった。」
「...はぁ。」
「...だっ!!」
えいっ、と口から魂が抜けるんじゃないかってくらい暗い誠司さんの額にデコピンして僕の方へ向かせる。
「僕がもういいって言ってるんです、気にしないでください。
仮にホームランを打たれたことがマイナスの面だとするなら、7回の攻撃で点を取ってくれたじゃないですか。
それでチャラですよ。」
なぜデコピンされたか分からない様で少し困惑気味ではあるが僕の言葉にちょっとは納得してくれたみたいで、ぎこちなく縦に首を振って頷いた。
「全く...手のかかる先輩ですね。ジャイアンツの捕手ならもっとどーんと構えて下さい!」
「ぷぷっ、言われてんでー、誠司くん!」
「ばっか、今口出すなって!」
本当にこの人は学習しないなぁと思うけど、これが勇人さんなりの励まし方なんだろう。
そう言いつつ僕も落ち込んでたらこれくらいのノリの方がいいし、誠司さんも笑っている。
(...誠司さんがそんなだと僕が智之さんもらっちゃいますよ。)
((!!!))
(それはアカン!)
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さや - 柊樺さん» 楽しみにしてますが、あまり無理をしないで下さいね♪ (2019年3月14日 15時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» やっぱり甲子園は何かありますよね! 小話かなにかで主人公の高校時代の話を書けたらなんて思ってます! (2019年3月12日 17時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - 柊樺さん» やっぱり、あの試合でしたか! 甲子園の魔物を実感した試合でした。「勝って涙の中京大中京、負けて笑顔の日本文理」名言だと思いました。日本文理の投手は忘れましたが、中京大中京のエースは堂林さん。優勝決定時は外野手してましたが、彼はエースでした。 (2019年3月12日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます! その試合を参考に話作ってみました、さすがです!笑 リクエストなどあれば気軽に送ってください! (2019年3月11日 22時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - おはようございます。たまたま読んで、ハマってしまいました(笑) 主人公の高校時代の一戦は、日本文理VS中京大中京の決勝を思い浮かべながら読んでしまいました(時期は少し違いますけどね)。 (2019年3月11日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊樺 | 作成日時:2019年2月22日 13時