頂への道のり【男主】【GIANTS】

# 28 ページ33

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＊ 坂本side ＊







「...うわ、えぐ。」




前で投げるAは得意のストレートとフォークでヤクルトの強打者を次々に仕留めていく。



今は４回、先程相手に今日の試合初のレフト方向のヒットを打たれたが、ご覧の通りその次の打者を空振りにした。



そして現在バッターボックスに入っているのは坂口さんで、その次には哲人。



いわゆる３番から始まるクリーンナップだが、今のところ３回終了まで一塁を踏ませない投球を見せている。



因みに２回の攻撃でジャイアンツは６点を先取し、０対６という有利な試合になっている。









「...っと。」



やっとこっちに球が飛んできたと思ったがボテボテのショートゴロ。



そこまでスピードもなく変な方向にはねてもいないので、難なく捌いて一塁に送球した。



その後哲人を空振り三振で抑えて、４回の表終了。



開幕後初の一軍先発にも関わらず淡々とやってのけるAに少し恐れをなしたが、そこは先輩の態度で。









「...A！ ナイスコントロール、このまま順調に行けそうだな。」



「へへっ、そうですね、最後まで頑張ります。あっ、それとさっきのゴロありがとうございました。


投げる時少し球がブレて危ないと思ってたんですけど...勇人さんがいてくれて助かりました。」



「はははっ、ええよ、そんなの。」




でも助かったのでと言うAは、前の回でも少しミスしてこっちに球が飛んできたことで感謝してきた。





「いや、普通のことしただけだけどね？」



「Aに感謝されて浮かれてエラーしたらど突くからな。」



「...勇人、今日は猛打賞期待してるぞ。」



「......... 」




長さん、修さん、阿部さん、ベンチに戻ればAは誠司とサインの確認をするので殆ど喋ることができないから、喋ることのできた自分に嫉妬しているのだろう。



周りの仲間も羨ましそうな目でこちらを見てくるから、試合中ながらも優越感に浸る。









「...猛打賞ね。」



４回裏、ジャイアンツの攻撃は長さんから始まったが連続アウトで２アウト、ランナー無し。



Aの為にあと２点くらいは欲しいところで、阿部さんにも打てと言われているからやる気はめちゃくちゃある。



初球を狙って振るがタイミングが合わなくて空振り。



相手の雰囲気にのまれてると思ったが２球目のスライダーが甘く入ったのを見逃さず、センター方向へのヒットを打って出塁することができた。








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