# 15 ページ16
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* 主side *
「「「 A!! 」」
阿部さんとのやりとりを見ていた人たちが僕を名前で呼ぶようになり、それがチーム全体に浸透した。
この呼び方は選手止まりだと思っていたのにまさかの監督やコーチまでも呼ぶようになった。
嫌って訳ではないけどこの歳になると恥ずかしい。
「...A、今村の次出すぞ。」
「はいっ!」
今日はチーム内での紅白戦が行われている。
バッテリーを組むのは小林さん。この間の練習以降も結局バッテリーを組むことができず、今日が初である。
「(...ん、次はフォークか。)」
小林さんの指示に従い、人差し指と中指で球を握って投げる。
その球で見事空振りをもぎ取ることができ、1回を三者凡退で抑えた。
ベンチに戻るとグラブで背中をポンっと叩かれた。
「Aっ、ナイスコントロール! 投げるごとに制球も良くなってるし次も頼むな。」
彼の言う通り最初は制球がままならなく引っかかった球を連続で投げてしまったが、すぐに球を軌道修正することができた。
でもそれができたのは小林さんのおかげです。
「...次もいいリード期待してます。」
そう言って僕はネクストバッターサークルに向かった。
「〜っ!」
「...誠司よかったなぁ?」
「! ちょっ勇人さん、静かにしてください。」
「そうだよ勇人。いま誠司は、Aの言葉を噛み締めてるんだから。」
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1アウト二塁で得点圏内にランナーあり。
バッターボックスに立つとピッチャーとは違う緊張感に包まれ、さらにアドレナリンが放出されている気がする。
ピッチャーは皓太で新人対決なもんだから、どちらも肩に力が入りまくっている。
皓太が腕を振った時と球の回転をできるだけ見て、球種を判断してみる。
「(....スライダーかな。)」
どちらにしろ運だ、一度振ってみよう。その勢いで思いっきりスイングした。
僕のバットに当たった球は快音を響かせ左翼と中堅の間に飛んで行った。
これによりランナーは帰還、僕は二塁まで進んだ。
公式戦ではないけど初安打なので嬉しくてベンチに拳を向けた。
(みんな返してくれたっ!)
((...やることすべてが微笑ましい。))
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さや - 柊樺さん» 楽しみにしてますが、あまり無理をしないで下さいね♪ (2019年3月14日 15時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» やっぱり甲子園は何かありますよね! 小話かなにかで主人公の高校時代の話を書けたらなんて思ってます! (2019年3月12日 17時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - 柊樺さん» やっぱり、あの試合でしたか! 甲子園の魔物を実感した試合でした。「勝って涙の中京大中京、負けて笑顔の日本文理」名言だと思いました。日本文理の投手は忘れましたが、中京大中京のエースは堂林さん。優勝決定時は外野手してましたが、彼はエースでした。 (2019年3月12日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます! その試合を参考に話作ってみました、さすがです!笑 リクエストなどあれば気軽に送ってください! (2019年3月11日 22時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - おはようございます。たまたま読んで、ハマってしまいました(笑) 主人公の高校時代の一戦は、日本文理VS中京大中京の決勝を思い浮かべながら読んでしまいました(時期は少し違いますけどね)。 (2019年3月11日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊樺 | 作成日時:2019年2月22日 13時