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観察 ページ3

「やったか?」

思わず殺していた呼吸を再開し、ふぅと口の間から溜め息を漏らす。
仕留めた"それ"に向かってナイフを向けながら、そっと近付いた。

…まだ息がある。

このまま殺してしまおうか__と思ったが、これはこれでいいのかもしれない。
生け捕りに出来ているのだから、殺さなくとも良いだろう。
様子からすると、既に弱っていた所に軍曹がトドメを入れ、動けない程度まで衰弱させたらしい。

抵抗をする様子もないので、救援を呼ぶ前に観察をしてみることにした。

基本的には大蛇がベースとなっている。ほんのり紅みのある白色の体。
胴体を見ていると、今にも人を絞め殺して食ってきそうだ。

しかし、頭は蛇というより鴉に近い。嘴の境界線はないが、横から見ると鳥類の顔立ちなのだ。

それに加え、この化け物には四肢があるのだ。
勿論、蛇は環境適応の退化故に四肢がない。

だがこの化け物は四肢がある。さらに言うと、哺乳類系の四肢_というよりも、骨格だ。
前足はほぼ骨のような状態、後ろ足はどちらも包帯でぐるぐると巻かれており、人間臭く感じて嫌気が差した。

他には…鎖が異常に繋がれている、ということだろうか。
前足の付近の鎖には、大きく「20026」と彫られている。

観察を終えてすぐに距離を取る。
怪物は先ほどから、矢が刺さった部分から赤黒い血を流しながらも、時に口を開けて「ギッギッ」と鳴き声を発している。

「さてさてさてさて……どうしたことか。私こういうの全ッ然詳しくないし…そもそも今は夜だから殆ど起きてないしてか起こしたら怒られるしー…」

軍曹は戦闘要員の為、新種の生物だの文学だの流行りのファッションだのは知ったこっちゃない。
銃撃戦だの騙し討ちだのの方が数千倍好きだ。

「しかーし!こういう時の為に"裏"天王はいる!」

ホントは違うけど、と心の中で捕捉しながら、第五天王、つかが中心となって制作、改造した「スマートフォン」を徐に取り出して連絡先を漁る。

「…もしもし、第一天王です。はい。いやドッキリじゃなくて…って誰がベーコンやねん。そのあだ名気に入ったん?軍曹は軍曹ですぅ。ゴホン、実は急用が出来てね、今すぐG-110の武器庫に__」

ナイフをしまってから、怪物が何処にも行かないように鍵をかけ、武器庫に閉じ込める。

話し相手はすぐ飛んできてくれるだろう。

軍曹は腕を組むと、出入り口の扉に背中を預けると、疲れたようにまた息を吹き出した。

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設定タグ:天王() , 天王 , 二次創作   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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劣化水銀(プロフ) - 36位…???有難うございナス!!! (2018年6月21日 22時) (レス) id: 421c0c814f (このIDを非表示/違反報告)
劣化水銀(プロフ) - 待たれてましたッ (2018年6月19日 18時) (レス) id: 691c01ec0b (このIDを非表示/違反報告)
猫犬 - ヒィッッ待ってました!!!! (2018年6月19日 1時) (レス) id: 21c60ad337 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:劣化水銀 | 作成日時:2018年6月18日 23時

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