43 ページ43
宮廷付きの教師に懐かない双子は悪戯ばかりしていた。
「わーい！あははは！引っかかってやんのー！」
他の騎士達を引っ掛けて遊ぶのでかなりの迷惑だ。
「ダメだろ！そんなことしたら！」
その度にクドが叱る、その度に泣いて反省するのにまたやる。
双子は構って欲しかったのだ。
「母上にイタズラしてみよう！」
カインが言い出した、シルヴィアは引かれるように着いていく。
「本当の悪戯を見せてあげようかしら…」
国をひとつ滅ぼす、そして無かったことにするのだ。
知っているのはそれを見ていた三人だけ。
(あと旦那たち。)
この日。イタズラの恐ろしさを知った。
しかして悪戯をやめたからと言って 宮廷教師の退屈な授業には変わりがない。
「兄様達はよく我慢できたなぁ…！」
「前は先生違ったんだって…」
「なぁ、シルヴィア、ルカさんに会いに行こうよ！」
「でも勝手に行ったら怒られる…」
「なんだよ…昔は黙って着いてきてくれたのに」
「昔は昔、今は今でしょ？」
「だけどさ…もういい！僕一人で行く！」
そういうとゲートへ急いだ。
叔父なら分かってくれるはずだと思った。
寂しかった、誰かといたかっただけなのだと…。
「ここどこだ…、道は合ってたはず…」
お使いで言ったのはたった一回、小さい頃。
いや、知るもんか 自分一人いなくなった所で母が気にするわけがない。
どうせ…
「む、子供か？何故こんな所に…」
竜族の男…イグニス。
「魔物が出る、早急に帰るのだな」
顔を近づけて瞳を見てくるイグニスに威圧されて後退りする…と、崖に落ちそうになる。
「うわっ！」
死んだと思った、腕を引っ張ってこちらに戻すイグニスは笑う。
「家は何処だ？送っていこう」
「帰りたくない」
「…そうか、貴様は親に構ってもらえないからそうやって駄々を捏ねているのだな？」
「っ！！！」
「甘えるな、親が健在なだけでも良く思え、甘えたくても親がいない者は星の数ほどいる。貴様はそれだけでも恵まれているのだ」
「でも…っ」
「わかった、ではこの森で一週間、一人で生きのびて見せろ」
「やってやる！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
