美味しくない ページ26
「ふむ、両手に花という奴か？」
まぁ余はいつでも両手に花なのだがな！
と爆炎。
「残念だ、実に残念な事に…余にはこやつがリヴァに見えない」
イグニスは悠々と地面に降り立つ。
「知らない、
「僕が止めます、僕のリヴァと貴方は多分違うんですよ、僕が知っているのはあのリヴァだけです。消えてください｣
「あぁ、そう…じゃあ死んでよ…シルヴァ！！」
無傷の黒いリヴァ。
斬り合いがはじまる、激しい攻防に私達は見ているしかなかった。
「貴女はもしかしたら誰にも会えなかった世界のリヴァなんですね」
「でも、貴方はいてくれた…貴方だけは傍に」
「貴女の傍にずっといてくれたのはアレフですよ、僕じゃありません」
「アレフ…？誰。」
闘技場の椅子に座るカイン、と他の子ら。
「父さん、無駄だよ…その母さんはもう終わっているんだ｣
シルヴァに聞こえるはずも無い小さな声で呟く。
母さんは壊れてしまった、未来で。
幸せだったのに、何があって壊れてしまったのだろう、それさえも僕らには分からなかった。
助けてあげたかった、母さんを。
ーー刺さる、赤い刀が。
黒いリヴァの胸に。
「報告にあったバグはこれで全部、任務完了しました。」
「…ベアトリーチェ？何処から……」
ハッとして
リヴァはポケットの中に閉まっていた十字架を確認する…ない。
「リヴァ…？」
シルヴァは刺さったままの黒いリヴァに手を伸ばす。
「ねぇ…、貴方は誰なの…？私は…誰なの？なんのために殺してきたの…？なんのために…」
戯言のように繰り返す。ベアトリーチェが冷たく告げる。
「彼女、最初から何も聞こえてないよ。残念な事に。」
貫いた刀身から赤い雫がぽたりと垂れる。
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