良かったね ページ22
長兄のラインハルトは周りの風当たりも一層強かったと思う。
精神を病んだ時も「上の子なのに」と周りに言われていた、
少しでも助けになったらと次男の私が兄に代わろうと思った。
「兄さん、笑ってる…」
兄は笑う事は無かった、いつも暗い顔して俯いて兄弟達に向ける愛想笑いが精一杯のような人だった。
アルスはアレフの方をみる、
こちらに気づいてアレフは微笑む、そして視線をリヴァに向けると心配そうに見詰める…
「父さんは母さんに兄弟の様な目を向けるんですね」
「ん?あぁ…兄弟みたいなものだからな…」
「兄弟の様な関係なのに結婚したんですか?」
驚いてしまった、愛にも形があるんだなあと…
「そばに居られればなんでも良かったんだよ、俺は」
自信満々に答える父親の真意がわからなかった。
「ラインハルト?」
「家族ですか…それが」
「愛がなんだか解らないが、俺はこの世界にお前達がいないと嫌だな」
アレフはアルスの頭を撫でた。
貰った十字架を月明かりに照らしながら見てみる。
特に何の変哲もない十字架…?
「大事にして…って」
まぁ、貰ったものだから持っておこうとは思った。
きっとあれだけ言って渡したのだから大切にして損は無いだろう。
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