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目覚めと鼓動。 ページ12

鏡の前に立って、右頬を隠していた髪を搔き上げる。
切ってしまえば良いのだろう、もう邪魔なのだから。
「随分、伸びたな…」
紫色の髪…いつからか産まれ出た刻印を隠す様になっていた。
好きな女が笑って言った、それは呪いだと。
だが、隠す必要は無いと言われた。
敢えて隠したその刻印を。
「貴方が上半身裸なんて珍しいわね、何してたの?」
背後から抱き着くようにアレフの頬に手を滑らせる。
「あぁ、そろそろ髪を切ろうと思ってな後ろばかり切っておいて前は切っていないから…」
くすっとリヴァは笑うと鏡に映る二人を見る。
「貴方の顔を独り占め出来なくなるのは残念だわ…
寝る時にこっそり髪を退かして見る顔、好きだったのだけれど」
「では、切らないでおこう」
ふっ、と笑うと上げた髪を元に戻す。
「それより、何か変わった事は無い?」
「いや、特にないな…リヴァの方こそ大丈夫か?」
「大丈夫よ、私は」
無いのならいいの、とリヴァは部屋を出ていく。
途端、何かが刺さったように痛み始める右眼。
「なんだ…?」
痛くて、立っていられなくてその場に蹲る、
蹲る際に鏡の前の花瓶を割ってしまった…
音がしたから多分、すぐ誰か来るだろう…。
「参ったな…」
部屋の扉が静かに開く、紫の髪の青年。
「…父上?!」
「アルスか…っ?」
聴こえない、何も聴こえない、
聴こえるのは自分の心音と何かの呻き声だけ。
掠れていく目に映る景色を頼りに確認する。
「母上!母上!早く来てください!父上が!」
アルスが叫ぶ、するとリヴァが転移して
アレフの傍に駆け寄る。
「あの時の…っ」
ルカを圧倒したあの力…。
私を貫いた…っ。
後ずさりしてしまう、体が恐怖を覚えてしまっている。
「(怯えてはダメ、ここで放っておいたら子供達が危ない)」
アレフと自分を防壁で囲む、この防壁は私が死んだら解除されない。私自身が鍵の役割の防御魔法…。

「リヴァ…?っ…!頼む…来ないでくれ…っ!」

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設定タグ:創作 , 恋愛 , 戦闘   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:夢無 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年5月12日 18時

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