【あんスタ】誘惑王子に逆らえない

誘惑王子9 ページ10

いやいや、俺もまだまだ抜けているね



部活後の夜道をのんびり家に帰る途中、忘れ物に気づいてUターン中。



妹に作ってもらったお弁当箱を、絶対に持って帰ってきてと頼まれてしまったからね。

俺がこう忘れっぽいのをわかって出掛けに忠告してくれていたのに、俺ももうおじいちゃんかなぁ...




小走りで門を抜けて校内に入る




夜は真っ暗。校内はかろうじて明かりがぽつぽつあるけれど、外は魔物でも出そうなくらい恐ろしく見えるね





A「ええと...お弁当箱は...」




あぁ、あったあった。結構奥に入れていたから気付かなかったよ



無事忘れ物を回収して廊下に出ると、ふとあの人の存在が目に浮かぶ



自然と足はその方向に向いて、扉を開けると明かりがついていた





A「...消し忘れかな...それとも




ここ?」





変な棺桶をノックすると、蓋が開いた



すぅっと白い手が伸びて、俺の腕を掴んで上半身だけ引きずり込まれてしまった





零「こんな夜遅くに何をしておったのじゃ。...
小坂くん」




A「忘れ物。......それより腕、離してくれない?このまま全身引きずりこまれたら困るよ」




極めて冷静に告げる



俺はこの人、あんまり好いていないからね...



もっと甘えん坊で、可愛い気のある子が好きだよ



...それに比べてこの人は





零「ほう...どう困る?心配しなくても、この時間に訪ねてくる者は居ない上、この部屋は防音じゃよ」



A「だから忘れ物って言った。...それに、大声を出すような事になるとは聞いていないよ?
...ちゃんと家に帰って、ご飯を食べた方が良いと思うんだけど?」




大人びた...あぁ、俺よりは大人なんだっけ


この人の大人の余裕、みたいな部分が苦手だ




子供は好きだけど、子供扱いはいらない




A「それより、早く離してくれないかな。どこから出てるのこの馬鹿力...わっ...!」



鍛えているつもりなのに、振りほどけない


アイアンクローでもしてあげようか?と考えついた瞬間







...身体を持ち上げられた




零「どうした?振りほどけない上に、こうして捕まっておるよ...?」



A「だから...!...はぁ...」





今居る場所は、朔間さんの膝の上


...しかも対面式で座らされるなんて、屈辱的





俺の腰にあるこの手、折ってやろうかな





A「...その顔やめてくれないかな。...腹が立つ」




普段はみんなに癒やされているのに


舌打ちする日が来るなんてね。





零「くく...♪...その顔も『可愛い』ぞい


A?」

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