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でも…。

でも怖い。

人間は簡単に死んでしまう。

…これが日常と言うのなら、
京の都はそれ自体が狂っている。

そんな中で、
千鶴を守っていくことができるのか。

それが不安であり、
守れると断言出来ないことが怖い。

???「ねぇ、ところでさ。
助けてあげたのに、お礼の一つも無いの?」

千鶴「…え?」

『…。』

唐突に話しかけられて目を見開く千鶴。

千鶴「そんな、助けてあげたのにって……」

…悔しいけれど、事実。

結果論かもしれないけれど、
確かに助けて貰った。

千鶴は立ち上がり、
袴に着いた土を払い、
身嗜み(みだしなみ)を整えてから
頭を下げた。

千鶴「あの、ありがとうございました。
お礼を言うのが遅くなってすみません。
……色々あって混乱していたもので。」

すると、斎藤と言う人は、衝撃を受けたように
目を見開き、土方と言う人は、
苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

『……。』

千鶴「わ、私も場違いかなとは思いましたよ!?でも、この人がお礼を言えって__」

その張本人を見ると、その人までも
腹を抱えて笑っていた。

千鶴「…………。」

???「あ。…ごめんごめん。
そうだよね、僕が言ったんだもんね。」

ひいひい笑い過ぎて涙目になったその人は、
少しだけ姿勢を正して千鶴に向き直る。

総司「どういたしまして。
僕は沖田総司と言います。
礼儀正しい子は嫌いじゃないよ?」

いつの間にか私の隣に来ていた千鶴を背に庇うように千鶴の前に立つ。

『…………御丁寧にどうも。』

千鶴はもう一度頭を下げた。

歳三「………わざわざ自己紹介してんじゃねぇよ。」

一「副長。
お気持ちはわかりますが、まずは移動を。」

呆れ返った声に対して、
斎藤と言う人が再び移動を促した。

沖田さんは千鶴の手首を掴む。

私はその手を叩き落とす。

総司「……何?」

『この子に触るな。
お前らが触っていい様な子じゃない。』

痛いなぁと言うふうに
手をひらひらさせる沖田。

総司「てゆうかさ、君。
いつまで刀出してるの?
それに、君達逃げたら困るんだよね。
だから逃げないように捕まえておこうかと思って。」

『……僕達は逃げない。だからこの子に触るな。逃げたら斬るんだろう?』

じろりと土方を睨む。

歳三「ああ。」

ふと、血染めの羽織を抱えた斎藤さんと
目が合う。

一「己の為に最悪を想定しておけ。
………さして良いようには転ばない。」

『……わかってる。』

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作者名:星空海月  | 作成日時:2021年3月1日 13時

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