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一「昨晩、京の都を巡回中に
浮浪の浪士と遭遇。相手が刀を抜いた為、
斬り合いとなりました。
隊士らは浪士を無力化しましたが、その折、
彼らが[失敗]した様子を目撃されています。」
そう言った斎藤は、ちらりと私達に視線を
投げた。
話せということなんだろう。
けれど、私は端から
口を開くつもりなんて無い。
千鶴「私、何も見ていません。」
きっぱりと言い切る千鶴に、少しだけ土方の
表情が和らいだ。
斎藤は無表情、沖田は笑顔だけど。
平助「なぁ、お前、本当に
何も見てないのか?」
千鶴「見てません。」
身を乗り出して来た藤堂にも、千鶴は同じ
言葉を繰り返して答えた。
平助「ふーん…。見てないんなら
いいんだけどさ。」
新八「あれ?総司の話では、お前が隊士共を
助けてくれたって話だったが…。」
千鶴「ち、違います!」
私は沖田を睨む。
沖田は感情の読めない笑顔のまま。
千鶴「私は、その浪士達から逃げていて…。
その時、ねえ…兄様が…」
『…僕が目を瞑って耳を塞いで、
絶対にこっちを見るなって言った。
あんた達が何を隠してるかは知らないけど、
少なくとも、この子は何も見てない。
て事は、この子には何の用も無い。
…この子を、さっきの部屋に戻して。
僕が見た物は、全て話す。』
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作者名:星空海月 | 作成日時:2021年3月1日 13時