検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:1,778 hit

11 ページ12



平助「へへーん。新八っつぁん、
図星さされて怒るって大人気ねぇよなぁ。」

彼らは冗談のような口調で言い合いながらも、
好奇を含んだ視線だけはずっと私達に注いでいた。

興味を装った彼らの眼差しの裏側に、
とても強い敵意を感じる。

何気なく話していても、私たちの存在は
許されていないのか…。

帰りたい。

早くこんな所から出て、父さんを探したい。

苛々してきて、眉間に皺を寄せた私に、
その人は穏やかな声音で話しかけた。

???「口さがない方ばかりで申し訳ありません。あまり、怖がったり、苛々したりしないでくださいね。」

千鶴「あ…」

後ろを向き、千鶴の顔を見ると、恐怖が
見え隠れしていた。

怖がらないで、は千鶴。

苛々しないで、が私か。

ちゃんと周りを見てる。

歳三「何言ってんだ。
いちばん怖いのはあんただろ、山南さん。」

土方は淡い笑みを唇に浮かべて、
からかうような口調で言った。

その言葉に他の人たちも、
うんうんと大きく頷いている。

……そんなに怖いの?この人。

山南「おや、心外ですね。皆さんはともかく、鬼の副長まで何を仰るんです?」

山南さんは、心外と言いながらも、微笑んでいた。

土方も土方で、薄く笑ったまま、何も言わない。

???「トシと山南君は、
相変わらず仲が良いなぁ。」

…仲良しって言うのか、これ。

微妙にピリついてません??

今の人はそう思ってるみたいだけど…。

近藤「あぁ、自己紹介が遅れたな。
俺が新選組局長、近藤勇だ。」

…この人が新選組のいちばん偉い人、か。

近藤「それから、そこのトシが副長で、
横に居る山南君は総長を務めていて___」

歳三「いや、近藤さん。
なんで色々教えてやってんだよ、あんたは。」

近藤「…む?ま、まずいのか?」

新八「情報を与える必要が無いんだったら、
黙ってる方が得策なんじゃないですかねぇ。」

狼狽える近藤さんをみて、原田は皆を
取り成すように笑った。

左之助「ま、知られて困る事もねぇよ。」

近藤さんは少しの間しょんぼりしていたが、
気を取り直した様に居住まいを正した。

その仕草を見ているだけで、この人は
皆に好かれているんだろうと感じる。

人を惹き付ける魅力と言うか、
なんだか憎めない雰囲気がある。

近藤「…さて、本題に入ろう。
まずは改めて、昨晩の話を聞かせてくれるか」

近藤さんに視線を向けられた斎藤は、
畏まった仕草で頷くと、話し始めた。

13→←10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星空海月  | 作成日時:2021年3月1日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。