【刀剣乱舞】壱と出会う話４章 (ページ34)

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『………あ、』

切国「！」

審神者部屋から出ると、切国さんが廊下居た。
彼の手元には書類があって、
赤神さんに用があるんだとわかる。
彼はペラペラとメモを取り出して
何かを確認した後、私に近づいた。

切国「誌重、昨日はご苦労だったな」

『…………大丈夫。私は貴方のバグを知ってる』

切国「！」

『切国さんこそ、あまり寝てなかったのに………
助けてくれてありがとうございました』

切国「あ、いや………
そうか、あんたは俺のバグを知っていたんだな。
すまない。日記はちゃんと書いてあるんだが、
流石に一日分の出来事全てを
朝起きた直後に確認するのは厳しくてな。

別に丸っきり覚えていない訳じゃないが………」

『(だからオルゴールの一件の時、
一睡も寝てなかったんだ………)』

一日の最初に出会う切国さんは
私の事を知らない。
欠かさず日記に出来事を書いているとは言え、
記憶は一眠りすればリセットされてしまうバグ。

毎度違う彼に出会っては、
毎度その日の彼と別れなければならない。

神隠しの後遺症によるバグ。
………辛そうだな。

切国「俺のバグは主から聞いたのか？」

『一応。長谷部からも聞かされました』

切国「そうか…………今の俺は覚えていないが、
”俺“がこのバグについて
あんたに伝えるよう長谷部と主に言ったらしい。
過去の俺はあんたになら、このバグについて
話してもいいと思ったようだ。

日記にそう書いてあった」

『それは信頼してくれているって
解釈してもいいんですかね。
でも何でまた私に………』

切国「…………あんたは、
俺達の存在を苦手としている。

なのにあんたは、それでも俺達に
寄り添おうとしてくれている。
それが分かったから初めてあんたに出会った日、
俺はあんたを信じると決めていたそうだ」

『！』

そんな風に………思ってくれていたんだ。
だから切国さんは、
私に手を貸してくれているのだろうか。

毎度違う彼に出会っているのに、
どの彼も私を助けてくれていた。

オルゴールの時だって、
私の我儘だったのに。

切国「ﾌｯ今日の俺はあんたに初めて会ったが、
あんたと最初に出会った俺が日記に残した様に、
あんたを信頼出来ると思った。

昨日の俺はあんたに”頼ってくれた“事が
嬉しかったようだ。

写しで、こんな厄介なバグを背負った俺だが、
これからもよろしく頼む」

『………はい』

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