141pager ”神様の願い事“ ページ22
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”あの人はどんな人やろ“
”会いたい“
”うちの演奏を聞いてくれるかな“
”頭を撫でてくれるかな“
”今日もあの人は蓋を開けてくれるやろうか“
夢の中で、オルゴールの音色が聞こえる。
古いオルゴールの演奏は、時々変な音がする。
これまで何度も演奏して来た彼女の音色は、
錆びてしまっても、鉄琴が歪んでも、
鳴り続けたのだろう。
少し下手な演奏。
しかし、美しい音色。
それはまるで、誰かへ捧げるように。
それはまるで、祈るかのように…………
美しい音を奏で続けていた。
ネジが回り切る、その時まで。
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??「すいまっせん。これ、なんぼです？」
「これですか？これ、壊れているんですよ」
??「はぁ、？壊れてるんです？
見たところキレーな箱ですけど」
『………あ、れ？』
気がつくと、夢の場面が変わった。
誰かに持ち上げられる感覚。
これは、オルゴールの視点………？
オルゴールはまだ付喪神として
目覚める前だから、景色を見る事自体
出来なかった筈だが………
………そうか。私がオルゴールと彼女の言う
”あの人“の過去を、第三者として見てるのか。
オルゴールの過去を通して、
”明石国行“の過去を見ているようだ。
”二振りは喜ぶやろか。まあタダでもろうた
壊れた奴をやるのは気が引けたし、
直せるとこまで直しといたんやけど“
明石「愛染、蛍丸。土産やで」
蛍丸「わあっ！国行、これどうしたの？」
明石「骨董屋で貰うて来てん。
ボロボロやったからうちが直したんや。
せやからあまり綺麗な音やないけど」
愛染「十分綺麗じゃん！
どこが悪いのか分かんねぇ」
蛍丸「よかったねー、お前」
”………喜んでるみたいやな。
苦労して直した甲斐があったわ“
彼が、明石さん………
赤と緑の、宝石のような瞳をしてる。
何て穏やかに笑う刀だろうか。
蛍丸と愛染を見る目が、とても優しい。
その姿を見るだけで、二振りをどれだけ
大切にしているか分かった。
この記憶は明石さんが赤神本丸に来る前の記憶か。
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年2月27日 11時
