【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ37)

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†漆佰漆拾陸† ページ37

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三日月「無論、俺達もこのような結末は
望んではいなかった。

もう………邪神に飲まれた主を
救う事は敵わないだろう。
だが、まだ抗うさ」

ﾂﾑｸﾞ「？」

三日月「聞いたことがある。
八百万の神の話を聞き、
その悩みを解決する人間がいると。

ツムグ殿、このじじいの願いを
聞いてはくれないか？」

三日月様はそう言って頭を下げた。
すると常に持ち歩いている宣之言書(のりとごとのしょ)が
ほのかに熱を帯びたのが分かった。

俺は涙を颯爽と拭う。
そうだ。俺は御用人……神々の願いを叶える者だ。
出来る事をしなくてはならない。
俺の目を見て察したのか
三日月様はにこりと笑った。

三日月「主に使える刃として、
最期を、担う義務が俺達にはある。

主の誇りと願いを叶えねばならない。
この本丸の最期を共に弔い、守ってくれ」

ﾂﾑｸﾞ「それは、つまり」

三日月「全ての責任が俺が背負おう。
主の眠りを、俺が守ろう。

そして待とう。いつか訪れる、安らぎを。
どうか邪神を祓う者が現れ、
この本丸の真実を受け入れ………
意志を継ぐものを、ここで待とう。

それまでの餞を、どうかじじいの我儘だと思い、
叶えてはくれまいか？」

そこで感じた。
彼はゆったりとした口調でそう告げて入るが、
その言葉に、深い悲しみが含まれていた事を。
愛していた者へ、せめての償いと
言っているかのような………

深く深く言葉に継がれた思いを。

叶えなければならない願いがある。
今、ここで俺がやらなければ。
残された自分に出来る、精一杯の事を。

ﾂﾑｸﾞ「………承りました。
その願い、叶えましょう」

自分の価値が見いだせないまま、
虚無を彷徨っていた。
だが、ここでようやく………
俺の意味を示す事が出来た。

俺は、この為に………いるのだと。
初めて知ったのだ。

三日月「感謝するぞ。
では、俺は墓守を担うとしよう。

あの邪神は主の体を器としている。
邪神から主の骸を取り返せねばな」

ﾂﾑｸﾞ「なら、俺は………

刀剣の神々の傷ついた心を、
せめて眠りの形として癒やしましょう。
いつか、本当の安らぎが訪れるまで、
眠りの中でゆっくり、
時間をかけて傷を癒やす必要があります」

三日月「嗚呼、それがいいだろう。頼んだぞ」

ﾂﾑｸﾞ「………はい」

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