【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ26)

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†漆佰陸拾伍† ページ26

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見られた………色々と……

いや、それはこの際どうでもいい………
それより背中の痣に触ったら、
この人は錆びてしまう。

御手《呪い？》

『はい、この痣は………触れた物を
腐食させる危険なものです。

触れていないんですよね？』

御手《？？嗚呼、触ってない》

『(良かった………)』

安堵しながら、私は床に目線を移す。
そこにあったのは父の日記。

まだ、最後まで読んでいなかったな。
………知りたい。何故父は私の為に
そこまで尽くしたのか。
まともに話し合った事はなかった。

私が、知らない所で、
父親代わりに育ててくれた人が、
どれだけの苦労を重ねていたのか。
私をどう思ってくれていたのか。

知りたい。私が知らなかった事が、
このアーカイブに術で刻まれているなら。
私は知らなければならない。

『…………』

御手《九重は本丸には帰らないのか？》

『行ったら………皆を、巻き込んでしまう……
それだけは、嫌なんです』

御手《………そういうもんか？》

『迷惑は、かけれないから』

御手《んー、いまいち
人間が考える事は分からないな》

『？』

御手《俺の所の主も、同じような事を言って、
本丸から姿を消しちまった。
二度と帰ってくる事は無かったよ》

『………！』

御手《言ってくれなきゃ、こっちは分からない。
知りたい気持ちは、いけない事なのか？》

………それは、まるで。
私と父の関係のようだった。

知りたい。でも父さんも黒田も……鶴さんも。
話してはくれなかった。
私達は話す機会があまりにも少なすぎた。
なら、置いて行ってしまった本丸の皆も、
同じように思っているのだろうか。

………話せば、良かったのだろうか。
向き合える勇気が、私には無い。
怖いんだ。どう向き合えればいいのか、
私には分からない………

難しいな。

『…………難しいですね』

御手《人間のあんたでも分からないのか》

『正解が何かなんて、私にも分かりません』

御手《そうか》

知れるのかな。今。
ここで父のアーカイブを読めば、
何か分かるかな。

もっと話せば良かった。
逃げないで、受け入れれば良かった。

今からでも、間に合うかな。
父さん………父さんは居なくなったけど、
知りたいよ、貴方のこと。