【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ18)

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†漆佰伍拾漆† ページ18

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稲荷《………そうか、あの子は思い出してしまったか》

稲荷大明神は目を細め、キセルから口を離す。
それから全てを見通すかのように
しばらく刀剣達を見つめていたが、
やがて諦めたようにまた口を開く。

稲荷《何となく察したよ。
あの子は君達から離れる事にしたんだね》

大包「何処に行ったか知らないか」

稲荷《さぁ、そこまでは》

燭台「でも君は何か知ってるんだろう？
教えてくれないかい？彼女について。
僕達は彼女をあまりにも知らなさ過ぎる」

稲荷《………それもそうか。
良いだろう、私が知り得る事を話すよ。
とはいえ私はただの傍観者。
私の視点はあくまでも第三者だ。

それだけは頭に置いて聞くと良い》

not,side〜end〜
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稲荷神side

そう、私はただの傍観者。
神には善悪の概念は存在しない………
人々は時代と共に、我々神を
“願いを叶える”だけの存在としか
思わなくなっていった。

間違いではないが、人は己の都合が悪くなった際に
神頼みをするものだ。
しかし神とは“善”だけではない。
時には災いを人々に与えなければならない。
それがこの世の理。

覆ることはない、世の均衡を
保つために我々神がいる。

言ってしまえば神は何をしてもいいのだ。
善悪の概念が無いのだから。

………まあ、人間には我々が見えていないからね。
そんなものは関係ない。
長い時の中で………私は都合が悪くなり、
“神頼み”に参拝しに、私が鎮座する社へ
やって来るそんな人々を見守り続けた。

稲荷《………ん？(この匂いは)》

そんな中で出会ったのが九重の父親である
“先代御用人”だった。
あの日のことは良く覚えている。

奴は当時、異様な邪気を僅かに付着しながら、
社にある手水舎の清水で、腕を清めていた。
その腕には邪気の原因である穢れが見えた。
幸いにも清水でその腕は清められていたが、
強く、随分と厄介な邪気の気配だったな。

そして僅かに香る桜の香りから
桜真の血縁者である事は分かっていた。

妖怪にでも追われたか？
いや、しかし周囲の土地からは
何も感じ取れなかったが…………