虎と兎。

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｢ん…、今何時だ｣






体が痛くて起き上がる



冷たい床で寝たせいか



少し肌寒かった





｢いい加減教室に戻らないと｣




時計をちらっと見ると止まっていた


壊れたままの時計




スマホも教室に置きっぱなしで



時間が分からない




｢どれくらい寝てたんだ私｣




音楽室を出ようとドアに手をかけた時



勢いよくドアが開いた





｢うわっ…、なんでっ｣




｢うわっとか酷くない??｣




目の前には



スニョンがいた




肩で呼吸をしていて


走り回ったみたいだった





｢どいて、なにか探してるんでしょ｣




｢なんでそう、思った?｣




｢だって肩で息してるから｣




私より身長の高いスニョン




ちらっと顔を見るときっと鋭い目が私を捕らえた





｢A、お前を探してた｣




｢…え、?!｣




ガバッと抱きしめられた



ぎゅっと強く





｢ちょ、っとっ!!｣




｢冷たい｣




｢っ…!｣





スニョンは



すごく暖かった



すごくすごく



暖かくて





｢Aっ…?｣





ぎゅっとスニョンを抱きしめた



人の温もりなんて知らない






知りたくなかった






｢ごめん…っ｣




グッと堪えていたはずの涙が頬を伝った




泣きたくなんてなかった



だけど、何故か安心して涙が出た




｢大丈夫、大丈夫｣




ポンっと頭を撫でられた



その手も暖かくてさ






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やめてよ





そんなに優しくしないでよ

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