虎と兎。

story.43 ページ43

.






｢…んっ?｣





瞼を閉じていても眩しいと思って目を開けた




もう朝か




明るくなってきた時に寝たから


全然寝た気がしない






ゆっくりと体を起こした




｢あ、全然だるくない｣




昨日まであんなに辛かったのが嘘みたいに



元気になった




時計を見ると8時過ぎ



今から行っても間に合うな




どうしよう行こうかな




｢…行くか｣




立ち上がり



制服に着替えた



一応薬持っていくか




｢…はぁ｣




気が重い



あの女子たちの顔を見たくないし



声も聞きたくない




けど、負けたくない





｢行ってきます｣




返事なんかかえってこないのに



ガチャっと鍵を閉めいつもと同じように


イヤホンをつけて歩き出した




1人で歩くことが多かったこの通学路



だけど、スニョンと関わるようになってからは




たまにだけど、ひとりじゃなかった




今思えば、すごく楽しかった





｢はぁ…｣




帰りたい




けど、頑張っていかなきゃ




.



.




教室のドアを開け中に入った




席は以外にもそのままだった





スニョンはいるけど、寝てるのか




昨日は迷惑かけちゃったからな



静かに自席に座った




イヤホンを外し




ぼーっとしていると





私の席の周りに




女子達が来た



相変わらず




1人では来ないのね




｢"Aちゃん｣




｢…｣




｢"無視??ねぇ、聞いてんだけど｣




｢…なに?｣




｢"キスまでしたのに嘘なの?｣



｢…まだその事言ってんの??


キスなんかしてないけど｣




｢*はぁ?!あたしたちも見たんだけど?!｣




自分の親指を口に持っていき



｢こうやって止めれば角度的には口が当たってるように見えるだろうね｣




｢"…最低な女｣




最低な女??




あはは



馬鹿みたいだな




｢"何笑ってんの｣




｢いや、別に?ただ、面白くて｣




｢"あんた、馬鹿にしてんの｣




｢…その言葉そのまま返すわ。


それに、あなた達は知らないと思うけど、



女子が苦手なの｣




｢"あんたが苦手だろうが知らない｣




｢残念、私じゃなくてスニョンが苦手なの。



こういうところが苦手なんじゃない?



スニョンのためを思ってみたいな行動



下心丸出しの行動｣




｢"…っ｣




バチンと鈍い音が教室に響いた




いったいな




こんなんじゃ苦手にもなるわ

story.44→←story.42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す