個性把握テスト ページ7
他の人よりも速く着替えて、私はいの一番にグラウンドに行く。体操服は長袖になってる。理由は、私の腕には、びっしりと自傷行為の跡が着いているからだ。
私には体力がないため修善寺さんは治せない…まあ、治して貰わなくても結構だけど。
相澤さんは私に気づくと、軽くこちらに視線を寄越しただけで、他に何も言わない。校内で授業を受けている時は、“教師と生徒”の関係を守るつもりだろう。そちらの方が、ありがたい。
「個性把握…テストォ ！？」
少し離れたところにボーッと突っ立っていると、何人かの叫び声が耳に届いた。もう、全員来たらしい。全く気づかなかった…。
「入学式は！？ガイダンスは！？」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
そう考えるのは、相澤さんだけだと思う。
「雄英は“自由”な校風が売り文句。そしてそれは、“先生側”もまた然り」
相澤さんの言葉に、クラスメイトは不思議そうな顔をした。
「ソフトボール投げ、立ち幅とび、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ？“個性”禁止の体力テスト」
勘の良い何人かのクラスメイトは、これから行われることをだいたい察したらしい。少しだけ、顔つきが変わった。
「国は未だ、画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まぁ、文部科学省の怠慢だよ」
相澤さんはそこで言葉を切ると、不良男子をちらりと見た。
「爆豪、中学校の時、ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
67…え、やば。頑張ればギネス取れるでしょ。
「じゃあ、“個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、早よ」
相澤さんはそう言うと、AIの技術が搭載された、少し変わった形をしたボールを、円の中にいる爆豪さんに軽く投げた。爆豪さんはそれをキャッチすると、軽くアップをする。
「思いっ切りな」
爆豪さんはその言葉に少しだけ口角を上げた。
「んじゃまあ…」
爆豪さんは小さくつぶやくと、大きく腕をふりかぶる。
「死ねえ！！！」
そして、独特な掛け声と共に腕を振り下ろし、ボールが手から離れる寸前で、手から爆発のようなものを起こしてボールを空高く飛ばした。
爆風のせいで巻あがった砂埃を、空間遮断で防ぐ。“個性”にはトラウマがあるけど、使えないわけではない。まあ、むやみに使いたくないけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぁ - 珍しく台本書きでも、改行で誤魔化す事もなくしっかりした文章を読めてかなり満足しました。CSSもシンプルで良いですね、影ながら応援してます。 (2022年10月20日 17時) (
レス) @page7 id: fefad6577a (このIDを非表示/違反報告)
闇雲空(プロフ) - みゆかさん» わわ、みゆか様も受験生なんですね！！共に頑張りましょう！！ (2022年10月3日 15時) (レス) id: cfd39d529f (このIDを非表示/違反報告)
闇雲空(プロフ) - アカリさん» ドンピシャ作品を作れて嬉しいです！！お気遣い、ありがとうございます。更新頑張ります！！ (2022年10月3日 15時) (レス) id: cfd39d529f (このIDを非表示/違反報告)
みゆか(プロフ) - 夢主ちゃんの性格、主様の書き方‥‥めっちゃ好きです() 私も受験生なので、一緒に頑張りましょうね！！ (2022年10月3日 15時) (レス) @page17 id: cc51e57412 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ(プロフ) - シリアス且つ原作沿いもので、ここまで自分ドンピシャな作品に出会えるなんて思いませんでした！主様のペースで、更新頑張ってください！ (2022年10月3日 15時) (レス) @page17 id: e58062aad0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：闇雲空 | 作成日時：2022年9月29日 18時
