前日 ページ3
いつものように、窓の近くに置いてある椅子に座って本を読む。ここは、雄英高校の最上階の一番端の部屋で、私の部屋として使わせてもらっている。
トイレもシャワールームも洗面台も台所もエアコンもテレビも床暖房も完備されていて、何不自由なく暮らせている。
明日は、雄英の入学式だ。ヒーローになりたいと言う人達が集っているヒーロー科に、特別ヒーローを志していない私が混じる。それに少し不安と、同時に恐怖を覚える。
「空」
突然、ドアがノックされた。その後に聞こえた声に、私は不思議に思う。
「何の用ですか─────相澤さん」
私が返すと、ドア越しに相澤さんが言った。
「明日は入学式だが、かなりハードな一日になる。こんなことは言いたくないが……寝た方が、身のためだ」
相澤さんは毎年、入学式の日に個性把握テストを行う。皆の実力を見るため…らしい。
「わかりました」
私が返すと、相澤さんの足音が遠ざかったのがわかった。私はチラリと時計を見る。
「21時52分…」
私は本にしおりを挟んで閉じると、カーテンを閉めて本を本棚にしまい、久しぶりに睡眠薬を野菜室から、錠剤を楽に服薬できる子供向けのゼリーを冷蔵室取り出す。
私は固形物が食べれない。喉にあの硬いものを感じただけで、吐きそうになる。かといって、シチューやカレー、スープなども食べれない。ああいう、“様々な味を一度に感じるもの”も、口に入れると吐きそうになる。
基本の食べ物は飲料ゼリー、飲み物は栄養ドリンクかブラックコーヒーか水。自分でも、ブラック企業のサラリーマンみたいな食生活してるな…と、思う。
「2錠…か」
睡眠薬を使うと、殺めてしまった家族が自分を責める夢を見ないで済む。でも、私は寝る行為が嫌なため、あまり睡眠薬は飲まない。期限が過ぎれば、修善寺が対応してくれる。こんな私のために申し訳ないと思いつつ、ありがたくその優しさを受け取っている。
「……まず」
小さめのガラス製のボウルにゼリーと薬を出し、スプーンで混ぜて流し込む。たまたま取り出したゼリーの味は、チョコレート味だった。
「グレープだと思ってたのに…」
はあ、最悪…。
「ま、いっか」
私はそう呟くと、スプーンとボウルを洗って干す。そして、歯を磨くと、何日も使っていない、冷たくてふかふかのベッドに寝転んだ。そして、アラームを7時に合わせて枕元に置き、目を瞑る。
「…どうか、明日が、来ませんように」
なんて、ね。
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ぁ - 珍しく台本書きでも、改行で誤魔化す事もなくしっかりした文章を読めてかなり満足しました。CSSもシンプルで良いですね、影ながら応援してます。 (2022年10月20日 17時) (
レス) @page7 id: fefad6577a (このIDを非表示/違反報告)
闇雲空(プロフ) - みゆかさん» わわ、みゆか様も受験生なんですね！！共に頑張りましょう！！ (2022年10月3日 15時) (レス) id: cfd39d529f (このIDを非表示/違反報告)
闇雲空(プロフ) - アカリさん» ドンピシャ作品を作れて嬉しいです！！お気遣い、ありがとうございます。更新頑張ります！！ (2022年10月3日 15時) (レス) id: cfd39d529f (このIDを非表示/違反報告)
みゆか(プロフ) - 夢主ちゃんの性格、主様の書き方‥‥めっちゃ好きです() 私も受験生なので、一緒に頑張りましょうね！！ (2022年10月3日 15時) (レス) @page17 id: cc51e57412 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ(プロフ) - シリアス且つ原作沿いもので、ここまで自分ドンピシャな作品に出会えるなんて思いませんでした！主様のペースで、更新頑張ってください！ (2022年10月3日 15時) (レス) @page17 id: e58062aad0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇雲空 | 作成日時：2022年9月29日 18時
