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「ごめんねマーク。私もずっと、マークの事が好きだったんだよ」
その言葉に、みぞおちを打ち据えられたように声も上げられなかった。
最初は何を言っているのか理解できなかったAの言葉が、徐々に頭を巡って、穴を掘って埋まりたくなるくらい指先が熱くなる。
それなのに背中に冷や汗が伝って落ち着かない。
正直、Aに「好きな人がいた」という事実を告げられた時、きっとメンバーの中にその人間がいることは予想していた。
だってそれ以外に、オレの見ていた範囲でAと関わりある親交の深い男の人なんていなかったからだ。
だけどそれが自分だと、まるでただの一つも考えてはいなかった。
ただの、自分のちっぽけな片思いが形を変えようとしていて、どくどくと聞こえる心臓の音に目が眩みそうになる。
それと同時にオレを、『マークという存在』を守るためだけに、Aが全てを背負って一人で出て行ったんだと気付いた。
なんて馬鹿なことをしてくれたんだ。
こんなことを抱えて何年間も、Aはどういう気持ちで過ごしてきたのか。
オレは何年間も、どうして気付いてあげることが出来なかったんだろう。
「……なんであの時、オレに何も言わなかったの。話してくれてさえいれば二人で考えて、何とかする事だって、」
「だからだよ。マークがいればどうにでもなるかもって、そんな都合の良い話、あるわけないのに」
「話し合うべきだった」
「そんなの必要ない。私たちがあの場で一緒になる事は不可能だったんだよ」
「でも、」
「じゃあ世界中にバレても良かった？私はそんなの絶対にいや。幸せになれるかもって勘違いしたまま過ごしていくこともしたくない。マークがいない世界は怖いけど、私のせいでマークが嫌われるのはもっと怖くて」
「A……」
「マーク、マークにはね、私の笑った顔だけ覚えていてほしかったんだよ。それなのに、どうして私たちは、また、」
擦れていく言葉がどうしようもなく頼りなく聞こえる。
Aはオレに諦めてほしかったんだろうな。
俯いた顔を隠そうとするAの手を取って握ると、今度はその手を振り払われなかった。
「ねえ、A。オレは今もAの事が好きだよ。ずっと昔から」
「……知ってる」
「うっ……もう一つ言うと、こんなに人を好きになることはもう二度と無いと思う」
「ううん、いつか本当に好きな人と一緒になれるよ。マークなら」
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
