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僕はマクヒョンの名前すらも呼ぶことが出来ず、心臓が早鐘を打って、息苦しさで身体を強張らせる事しか出来ない。
そんな事があってもいいのか。
こんな仕打ちがこの世界にあるのだろうか。
夢ならいますぐ覚めなければいけない。
そうして僕はこの瞬間になってようやく、Aヌナが恋をしていたのは他の誰でもない、マクヒョンだったという事に気が付いてしまったのだ。
「Aはどうして、オレに何も言わなかったんだろう」
あんなことを最初に僕へ告げたのは、マクヒョンの一番近い場所にいる弟が僕だからだ。
だからこそヌナは僕に言ったんだ。
ああ、どうしてこうなってしまったんだろう。
だって僕は“その人”がこの中にいるとは思わなかったんだ……！
Aヌナはきっと僕の知らないところで、僕の知らない人を好きになるんだと、勝手にそう思い込んでいた。
「マ、クヒョン、僕は、ぼく、」
僕はあの時、ヌナを自由にしてしまった。
なぜならAヌナを心から愛しているからだ。
でも本当に愛しているのなら、ヌナの事を自由にするべきではなかったんだ。
もしマクヒョンとAヌナが結ばれれば、世界中の全てが二人を引き裂くだろう。
それすら序の口で、予想もつかない大惨事になりかねない。
そんな誰にでも簡単に予測できる未来を前にして、Aヌナがどう動くかなんて考えるまでも無かった。
だってあの人は、全部を捨てるに決まってる！
どうして僕は気付く事が出来なかったんだ。
Aヌナの好きな人がマクヒョンだと知っていれば、僕は「全て手放せ」なんて口が裂けても言わなかったはずなのに。
だってそんなの「恋を捨てられないならここから出て行け」と言っているようなものじゃないか。
罰が当たったんだ。
そうだとしか思えない。
途端に手足がすくんで、目の前が真っ暗になれば、息を吸う事すら難しくなる。
引き金を引いてしまったのは他でも無い、二人の弟である自分だったのだ。
(ヘチャンの昔話 後・完)
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
