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言葉通りならまだ決定じゃないと受け取れるけど、全てを諦めたように笑うAヌナを見れば絶対に覆らないのだと嫌でも解った。
ああ、いやいや、これのどこが「人によっては悪くない話」なんだ。
まあでも、考えてみれば恋をするのは悪い事じゃない。
そういう意味でヌナは人によると言ったんだろうか。
僕らの仕事からすれば『恋をするのは良い事だ』なんて簡単に言えないのかもしれないけど。
「……それ、もう誰かに話した？」
「ううん、まだ。悠太くんにもマネージャーさんにも言ってなくて。実はね、この話をするのはヘチャンが初めて」
「ぼ、僕が？」
「うん」
「、正直……それはかなり嬉しいんだけど、でもなんで僕に？」
「ヘチャンは私を引き留めないと思ったから」
「ひどいよヌナ、どうしてそんな……」
「ごめんね、ヘチャン」
結局そう言われてしまえば、僕は絶対に引き留める事はできない。
言われた時点でお手上げなのだ。
会話が止まり、黙りこくってしまったAヌナをただただ見つめる。
僕も本題の事は頭の隅に追いやって、どうしてヌナは自分を選んだろうかと考え始めた。
『もしかしてヌナの好きな人って僕だったりする？』と茶化した言葉は喉まで来ていたけど、最後の最後で軽口を言う勇気は出なかった。
いやだってそうだけど、そうじゃないんだ。
僕とヌナの『好き』は同じベクトルではあるけど“一人だけを選びたい”という最も大事な存在ではない。
それなのに、Aヌナがこの話を自分にしたことが不思議でならなかった。
言いやすかったのか、それとも逆に言い辛かったから早めに終わらせようと思ったのか。
そういえばヌナ、面倒事は先々やるタイプの人間だっけ。
「……Aヌナ、やめて何するの？他の事務所に移るとか？」
「ううん、表に出る仕事はこれでお仕舞い。そうだなぁ、お金持ちの愛人なんかどう？」
「冗談でもやめてよ、ヌナ。絶対向いてないと思う」
「そう？案外うまく行くかも」
「……ねえヌナ。僕が大富豪だったら、それならAヌナのこと捕まえておける？」
「ヘチャンは優しいからすぐに私を逃がしたくなるんじゃないかな」
「Aヌナは僕の事買い被りすぎなんだよ。結構悪い男だよ、僕ってやつは」
Aヌナはくすくすと僕を笑う。
本当に綺麗だ。
それなのに、いつも凛としていたヌナのその背が折れるなんて、そんな事は少しだって思いつかなかった。
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
