ep6 ページ8
取調室にて事情聴取を始めた煙草の男。
「まず名前と職業、それからどういう経緯で食い逃げしたのか答えてもらおうじゃねぇか」
「名前は橘A、職業は――……契約社員」
私は一刻も早く職場に向かう為、仕方なく今回の件の一部始終を語ることにした。
「――という経緯ですが何か?」
「……成る程な。山崎、ちゃんと供述記録とったな?」
私の供述を控えている部下に尋ねる煙草の男。
「……ぇ?……ぁ、あ……は、はい!」
何故か慌て出す部下に眉を寄せて記録を取り上げたかと思えば、その顔に青筋が浮かび上がらせていく。
「途中から『あんぱん』しか書いてねぇじゃねぇかッ!!」
……あんぱん……?
何も分からない私を置き去りに「士道不覚悟」だの「切腹」だの騒ぎ出す2人。
……あれ、おかしいな。ここ、警察だよね?取調室だよね?
「あの〜もう職場に向かっていいですか?」
首を傾げた私を見て、は?という顔をする男。
「だって私の所持金がないのは地球までの旅費で消えたから。ほら、これが証拠のチケット。
そして食い逃げ容疑は万事屋の悪ふざけ。何の物的証拠もないのに私を食い逃げ犯にするつもりですか?」
「……そ、それは……」
言葉に詰まる男を見て、よしよしと思い荷物をまとめる。
あ、そういえば――……
「初出勤の職場に行く途中で迷っちゃって……この地図の所までどう行くか教えてもらえません?」
そう言いながら持っていた地図を机の上に広げ、そこに描かれた赤丸の所を指差す。
「あァ……」
煙草の男は地図をしばらく眺めていたが、首を傾げてしまう。
「……ん?これどこだ?」
「ちょっと、警察でしょ?街の地図くらい頭に入れときなよ」
「るせぇ!!」
そこにタイミングよく取調室の扉が開き、ごついオッサンが入って来た。
「近藤さん、この地図の場所わかるか?」
「どれどれ――…………ん?あれ?」
おいおいこのオッサンも分からんのかい!
そこに私に手錠かけた茶髪の子が首を伸ばして地図を覗き込む。そして深い溜息を吐いて肩を竦めた。
「お二人さん、冗談も程々にしなせェ。度が過ぎるとただの認知症ですぜ」
……この子なんでさっきから上司のことこんなディスってんの?
「で、この地図のとこ、どこなの?」
重量のあるキャリーケースを携えて尋ねれば、私は再び爆弾発言を聞く羽目になったのだ。
「ここでさァ」
2858人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時