帰郷 4 ページ28
ｰAside
…眠れない。
私はベッドの上で何度目かも分からない寝返りを打った。
ロシアに帰ってから一週間。
私は、夜眠ることができなくなっていた。
自分の部屋では陸さんを思い出して泣いてしまうので、今はアレクの部屋を使っている。
…今まで誰かを想って泣くなんてこと、無かったのに。
自分の中で、どれだけ陸さんの存在が大きかったのかを思い知る。
私はそっと部屋を抜け出してキッチンに向かった。
真っ暗なキッチンを手探りで進み、戸棚を開ける。
お酒の瓶を掴んだとき、いきなり部屋が明るくなった。
A「！」
目を刺す強い光に顔を顰め、振り向くとそこにはレオとアンリが立っていた。
レオ「…。」
無言で私から瓶を取り上げるレオ。
そのまま私の腕を掴むと、椅子に座らせた。
その間にアンリがお湯を沸かし、温かいお茶を淹れてくれる。
レオ「…また病院に運ばれる羽目になるぞ。」
A「うるさいな、ほっといてよ。
レオに関係ないでしょ。」
アンリ「A、でもお酒はダメだよ。
ここん所、お酒の減りが早いのAでしょ？」
A「…眠れないんやから、仕方ないやん…。」
お酒に頼るのはよくないことなんて、自分が一番分かっている。
だけど、お酒を飲まないと眠ることができなかった。
俯いた私の頭をレオがそっと撫でる。
レオ「…酒に頼るくらいなら無理に寝ようとしなくていい。
眠れないなら眠れないで、兄ちゃんが子守唄でもなんでも歌ってやるから。
だから、酒なんて飲むな。
ほっといてとか、関係ないなんて悲しいこと言うなよ。
俺はお前の兄貴なんだから。」
アンリ「レオが珍しくお兄ちゃんしてる。」
レオ「うるさいな、今いい所なんだから茶化すなよ。」
からかうように言ったアンリに唇を尖らせるレオ。
2人のやり取りに、私は小さく笑った。
A「…ありがと。」
レオの顔が緩む。
レオ「寝れるまで兄ちゃんが抱き締めてやろうか？」
A「いらないキモい。」
レオ「ぐっ！」
胸を抑えて蹲るレオをアンリが鼻で笑う。
レオ「おい、今鼻で笑ったろ！」
アンリ「A、ほらもうベッド行きな？」
A「…うん。おやすみ。」
アンリ「おやすみ。」
レオ「おやすみ。」
私は部屋に戻って、ベッドに潜り込んだ。
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直実(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます。美紀さんも気をつけてくださいね。 (2020年8月31日 19時) (
レス) id: ee63cfc73e (このIDを非表示/違反報告)
直実(プロフ) - すいさん» コメントありがとうございます！気付かなくてすみませんm(__)m千春さんと悠花さんは強い女性として書こうと思ってたんです笑強い女性大好きなんです笑 (2020年8月31日 19時) (レス) id: ee63cfc73e (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年8月31日 13時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 泣き足りない！泣き足りないです！しかも千春さんかっこいい！夢主ちゃんもきっと千春さんみたいな素晴らしい女性になるんでしょうね！あぁーやっぱりもっかいもっかい読んで泣いてきます(嬉涙) (2020年7月31日 16時) (レス) id: 3a0286c876 (このIDを非表示/違反報告)
直実(プロフ) - すいさん» お待たせしました！何回でも泣いてきてください！((殴 (2020年7月29日 19時) (レス) id: 993595d907 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：直実
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時：2020年6月1日 19時
