重い足で門をくぐれば ※苛め描写有り ページ48
「…やっぱり制服姿も可愛いな。」
「サイズ変わってなくて良かった。」
久しぶりの制服に袖を通し、首元のリボンを彼女に着けて貰う。
「足、スースーする。」
「すぐに慣れるよ。じゃあ行こっか。」
こくりと頷くと、鞄を持って部屋から出た。
「やっと言ってくれたね。」
「うん。今なら行ける気がするの。
ひなちゃんが隣にいてくれるもん。」
温もりがある方に、身を少し寄せる。
「学校終わったらゲームセンターにでも行こうよ。
凜と下校デートしてみたかったし。」
「…良いよ。新しい台あるかなぁ。」
「また格ゲー?」
頷くのと同時に、大きな門に辿り着く。
手を繋いだまま、その中に足を踏み入れた。
彼女と一緒にいる時に起こるものとは明らかに違う、胸の高鳴り。
クラスに着くと、私の机の上には菊が生けられた花瓶が置かれていた。
「向こうに持っていくから、ちょっと待ってて。」
彼女が離れている間に、机に鞄を置いて席に着く。
一人になった途端に心細くなり、紛らわせる為に
わざとのろのろと筆記用具を置いた。
その間に、私の事を主犯で苛めていたグループがこちらに来た。
「誰かと思ったら、レズ女じゃん。」
「美南の友達ってだけで良い気になって勘違いしてんだろ?」
「死んでなかったんだ、意外。」
「…。」
彼らの暴言にただ耐える。
心が弱くて言い返せないから、耐えるしか無くて。
そうしている内にひなちゃんが戻ってきた。
「…ねえ。
レズビアンってだけで、貴方達に何か悪い事でもした?」
「気持ち悪いんだよ。
そこだけ直せばマジで好みなんだけどさ。」
「そんなの理由になってないよ。
誰が誰を好きになっても貴方達には関係無いでしょ?
人の好みを馬鹿にするなんて、どうかしてる。
そんな事言ってる暇あるなら好きな人でも作りなよ。」
しっかり彼らを見ながら、言葉を刺していく彼女。
同時にクラス全員の視線も、彼らに突き刺さった。
「…何だよマジで。行こうぜ。」
罵倒の語彙を無くした彼らが、捨て台詞を吐いて遠ざかっていった。
「あんな事しか言えないの、本当にダサいよね。」
「…ひなちゃん。」
「何?」
「…ありがと。」
「恋人の事を大声で貶されて、我慢出来る人なんかいないでしょ。
ねえ、後で購買行こ。
凜の好きないちごジャムパンが売ってたの。」
「…うん、行く。」
震えた声で、やっと返事をした。
この後がどうなるかは分からないけど、
彼女の為にも精一杯高校生活を楽しむ事にする。
ここでも彼女と、一緒にいたいから。
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