【オリジナル】Milky Princess -彼女達の甘い秘め事-【GL/短編】 (ページ46)

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初めてでただ一人のお姫様ページ46

凜は女の子に好かれやすいと思う。
見た目等の第一印象だけで言えば、彼女は美人で控え目で
どこかクールに見えるけど抜けてる所もあって。
でも、私はそれ以上に彼女の事を知っている。
彼女の本当の事を皆に教えたい一方で、秘密にしたいとも思う。
それを知られれば、他の人に彼女を取られる気がして。

「…ひなた。手止まってるよ。」
「あ、ごめん。」
「また鈴音さんの事考えてたんでしょ。」
「うん。」
友達に指摘され、左手の箸を動かす。
五分程経過したが、弁当の中身は殆ど減っていない。
「顔赤ーい！
恋する乙女って感じ！」
「実際、鈴音さんに恋してるよね。」
「うん、凜の事は大好きだよ。」
一緒に弁当を食べている二人には、私と凜の事は既に話している。
彼女が学校に来た時に、お互いを驚かせない為に。
幸い二人は、私と凜がレズビアンであると言う事に肯定的だった。
彼女は知らないけど、この学校における数少ない理解者。
「ねぇ、今鈴音さんってどんな感じなの？」
「後もう一押しって感じかな。
何とか年度が変わる前に一緒に来たいしね。」
「可愛くなってる！？」
「なってるよ。
凜の場合は元から可愛かったけどね。」
「出た、幼馴染アピール！」
「今のは惚気じゃない？」
「も、もう。止めてよ…。」
からかってくる二人に照れながら突っ込み、また箸を動かした。

昼休み中に、教室で一人本を読みながら耽る。
「早く会いたいな！
可愛くなった鈴音さんが早く見たーい！」
先程の時間に、友達の一人が言っていた一言を頭の中で反芻させる。
早く、か。
彼女の本当の魅力を気付かせてしまったら、一体どうなるんだろう？
凜はレズビアンと言う事もあって甘える対象は女性(特に私)で、
私が見る限りは男性相手に甘えた様な態度を示した事は一度も無かった。
加えて言えばあれだけ美人で脚も綺麗なのに、
男子から声を掛けられる事は無くて。
寧ろ苛めの対象になっていた。
気を引きたいからの歪んだ嫉妬心か、
他の女子とは違う性的価値観があるからか。
どちらにしろ、私は彼女を守らなくてはならない。
彼女に集る悪い虫は、私が追い払わなきゃ。
まあ小さい時からそうしてきたから、
もう当たり前の事になっているんだけどね。

放課後。
テニス部にいた頃とは大きさも量も違う鞄を持って、門を出る。
この位の時間には、彼女に会いたいと思う気持ちが一層強くなる。
彼女が安心出来るだろう道はもう整っている。
これでいつでも迎えに行けるからね、私のお姫様。