お互いの立ち位置の話 ※微々裏注意 ページ39
「凜、最近やっと甘えてくる様になったね。」
「え…?」
隣にいる彼女に目を向けると、すぐに質問の意図が理解出来た。
彼女が読んでいる雑誌のページには、
<この冬オススメ!恋人と甘々になれる休日の過ごし方>と書かれている。
「え、えっと…ごめんなさい。」
「何で謝るの。」
「だって、その…。
どうしたら良いのか分からなくて。
しかも相手はひなちゃんだし。」
「今までみたいにすれば良いと思うけどな。」
「それが出来ないの…!
好きだって自覚した途端に恥ずかしくなっちゃうんだもん。」
彼女から視線を外す。
密かに高鳴る心音が彼女にバレない様にする為に。
意味が無いと分かっているけど、何かしないと落ち着かなくて。
雑誌をパタンと閉じて、私の手を握ってくる。
「私ね、凜を好きになってから初めて気付いた事が沢山あって。
凜ってこんなに可愛かったんだなって心の底から思ったの。
甘えてくる時とか、その…してる時の表情と声とかね。」
その時の事を思い出して、顔が赤くなる。
ひなちゃんに誘われて、しかも初めてなのに二回もして…。
「ねえ、凜はどっちが気持ち良かった?
凜がしてくれてる時と、私がしてあげてる時。
卒業したらその機会が増えるだろうし、訊いておきたいの。」
普段以上の糖度を拵えた質問に更に固まってしまう。
たっぷり時間を掛けて、こう答えた。
「……して貰ってる時、かな。
私の事を気持ち良くしてくれてるって思ったら嬉しくなっちゃって…。
えっと、それで余計に気持ち良く思えたのかも。」
「それって、<ひなちゃんなら私を気持ち良くしてくれるかも>
って思ってたって事でしょ?
それは私の事を信頼して甘えてくれてるって事だよね。
なら充分に出来てるよ。
自然にそう言う事が出来る様になったのは良い事だと思うし。」
「…私、男の子に生まれたかったな。
ひなちゃんも早い段階で好きになってくれただろうし。
する時だってもっと気持ち良くしてあげられたかも知れないし。」
ふふ、と声を漏らす彼女。
私は本気なのに。
「男の子な凜は考えた事無いな。
私が好きで、したいって思ったのは女の子の凜だしね。
それ位、私の好きな凜は魅力的な女の子って事だよ。」
握られた手が持ち上がり、手の甲に口付けが落とされる。
「ほら、凜もやって。」
私も真似して口付け、微笑む彼女を見つめた。
位置が入れ替わったとしても、私は同じ様に彼女を愛すると思う。
愛する方も愛される方も、基本的にはあまり変わらないのだから。
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