検索窓
今日:17 hit、昨日:20 hit、合計:13,021 hit

[双百合]熱演の後で ページ38

「今日はありがとうございました!
新曲の<貴女はパンプキン・エンジェル>宜しくお願いしまーす!」
「皆、凄く楽しかったよ。
じゃあ亜美、続きは二人で楽しもうか。」
天ヶ瀬結菜の言葉に、コンサート会場が浮き立つ。
二人でお辞儀をしてから、駆け足で舞台裏に戻った。

着替えの為、楽屋に戻る二人。
「ねぇ、結菜。
今日の写真をブログに上げたいんだけど良いかな?」
「良いよ。ポーズはどうする?」
彼女の肯定的な返事を聞き、
春原亜美はスマートフォンを操作しながら答える。
「じゃあ今回は腰くっつけようよ。
あ、でも流石にあざといかな…。」
「私達がやったら誰もそうは思わないと思うよ。」
そう言って、ハロウィン仕様の衣装を亜美に近付けた。
紫の生地にオレンジのフリルが取り入れられ、
そして亜美には胸元に、結菜には腰に
それぞれ赤いリボンが差し色として取り付けられている。
カメラが起動する頃には、二人は今日の
ライブの時以上に身体を密着させていた。
「肩、抱いてあげようか。亜美は私の腰を抱いて。」
「あ…、うん。」
モデル体型でどこか男性的な雰囲気を持つ結菜が、
等身大の女の子である亜美をリードする。
思わず赤面する彼女は、相方の結菜に恋慕を向けていた。
パシャリ、パシャリ。
最初は身を寄せ合って、二枚目は互いに口付け合う様に。
亜美にとっての夢の様な時間は、本当にすぐに過ぎ去ってしまった。
「…これで良い?」
「うん。…本当はもっと欲しいけど。
あ、この後時間ある?パイ作ってきたから二人で食べたいなって思って。」
「亜美のお菓子は美味しいからなー。
良いよ、食べようよ。」
スマホを鞄に戻し、入れ替わりに小さめの袋を取り出した。
二つある内の一つを、結菜に手渡す。
「今日もお疲れ様。結菜、大好きだよっ!」
「…ふふ、ありがとう。」
椅子に並んで座ると、袋からパンプキンパイを取り出して食べ始めた。
「…うん、美味しいよ。」
「ありがと!甘いのが苦手だって
言ってたから、かぼちゃで作ってみたの。
それに今日はハロウィンだし!」
嬉しそうに言葉を続けながら、彼女も美味しそうにはむはむと頬張る。
そのまま結菜の肩に凭れ掛かると、彼女に止められてしまった。
「こら。そう言うのは食べてからにしなよ。
私は亜美から逃げないよ。」
「えへへ、分かったー。」

ステージ衣装のまま仲良く戯れ合う二人を、今は誰も止められない。
彼女達も止める気等は無い。
例え彼女に、その様な気は無かったとしても…。

お互いの立ち位置の話 ※微々裏注意→←その陽射しは優しく煌めく



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。