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彼女を想う唯一の味方 ページ31

凜の家以外に遊びに行く所があるとすれば、
そこからバスで行ける範囲にある私のお婆ちゃんの家位だろう。
本当にたまにしか行かないけれど、私のもう一つの拠り所だ。

「お婆ちゃん、ひなただよ。」
「あら、ひなたちゃん。お入り。」
「うん、お邪魔します。」
休日、凜の家に行く前にこちらに寄る。
話しておきたい事があったからだ。
「朝にお萩を作ったのよ。食べていくかい?」
「うん、食べる。」
お萩とお抹茶を出して貰い、一口食べて美味しいと漏らす。
彼女はそれを見て、にこりと笑った。
縁側で暖かい風を浴び、反射的に冷たいお抹茶を喉に流す。
落ち着いた所で、話を切り出した。
「…お婆ちゃん。ちょっと聞いて欲しいんだけどね。
私、女の子とお付き合いしてるの。」
「おや、そうかい。ひなたちゃんもそんな年頃なのね。」
「…驚かないの?」
嬉しそうにしている彼女を見て、私が驚いてしまう。
「吃驚するけど、それ以上に嬉しいのよ。
それで、どんな子なの?」
「幼稚園から仲の良い子だよ。鈴音凜ちゃん。」
「あら、小さい時以来ね。
あの時はお人形さんみたいに可愛かったけど、
今は更に可愛くなっているんでしょうね。」
「可愛いって言うより綺麗かな。
たまに男の子みたいに見える時あるし。」
彼女はそう、と漏らし、少し黙ってしまった。

「…お婆ちゃん、私って変なのかな。」
「昔から愛の形は色々あるからねえ。
ひなたちゃんが変な訳無いわよ。
貴女達の愛が分からない世間の方が変だと思うけどね。
今の人達は昔かたぎ過ぎるのよ。
今に生きる人はちゃんと今を見ないとね。
その点貴女はちゃんと今を見られてる。
今を見て、まっすぐに凜ちゃんを愛してあげている。
貴女はそれで良いのよ。」
そう話す彼女は、とても優しい目をしていた。
「私がひなたちゃん位の歳にはね、お見合い結婚が普通だったの。
今の時代は良いわよ、相手を好きなだけ選べるもの。
でも勘違いしないでね。
付き合った人の数で愛は示せないわ。
一人の好きな人に対する愛の数の方が大事なのよ。
そうだわ。もし凜ちゃんと結婚して
子どもが出来たら、私に教えてね。」
「出来る訳無いよ。女の子同士だし。」
「あら、今は場所によっては結婚出来るみたいよ。
子どもだって、医療が発達してる今なら同性でも出来るの。」
やっぱり私は、お婆ちゃんが好きだ。

「もしそうなったら、どこまでだってお祝いに行くわね。」
優しげにそう話す彼女に寄り添う。
凜。今の私達、凄く幸せだよね。

貴女らしくいて欲しいの→←私の全ては貴女のもの。



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設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

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