初めてキスをした日の話 ページ23
ひなちゃんに初めて気持ちを打ち明けて、
彼女と付き合い始めてから数日が経った頃。
二人で一緒に、行き先も決めずに歩いてみようと言う事になった。
「何か、デートみたい。」
「みたいって言うかデートなの。
私が凜の彼女になった事、ちゃんと自覚してる?」
「…まだ、出来てないかも。
夢見てるみたいなんだもん。」
でも、夢じゃないんだよね。
行き着いたのは近くのカラオケボックス。
個室に入って、彼女の後に曲を入れる。
「……音外しちゃった。」
「でも上手かったよ。高音凄い綺麗だったし、
音もちゃんと取れてた。」
「ひなちゃんの方が上手だよ。
その、何て言うか…。凄い、ドキドキしちゃった。」
「ドキドキしたの?」
「うん。だって歌ってる時のひなちゃん、可愛かったもん。」
「…そっち、寄って良い?」
彼女が赤くなって頷いた私の腰を抱き、距離を更に近付ける。
ドキドキと、更に胸が高鳴る。
「…近いね。」
「……うん。」
「もっと、近付こっか。」
「もっと…?」
体を彼女の方に向けられ、首元に彼女の両腕が回される。
それに応える様に、両腕を彼女の腰に回した。
「…恥ずかしい。」
「今は二人きりだよ。」
「違うの。
ひなちゃんに私の心臓の音、聞こえちゃいそうなんだもん。」
「可愛い…。
キス、しよっか。」
その言葉に、今度は心臓が止まりそうになる。
小さく喉をこくりと鳴らし、顔を彼女に向けた。
「目、瞑った方が良いの?」
「私は瞑るよ。
凜の事、ちゃんと見れなくなるかも知れないから。」
「じゃあ、私も瞑る。
絶対に今よりもっと恥ずかしくなっちゃうもん。」
「ふふ。じゃあ目を瞑っててね。」
直後にそっと、唇同士が触れ合った。
やだ、本当に心臓止まっちゃう。
ドキドキし過ぎておかしくなっちゃう。
頭が真っ白になり掛けた時、唇が離れた。
「…あれ、凜ってこんなに可愛かったっけ。」
「…ひなちゃん、キラキラしてるね。」
「キラキラ?」
「えっと…。大人っぽくて綺麗…なの。
あ、でもいつものひなちゃんは可愛くて、その…!」
あたふたとする私を抱き寄せ、彼女が耳元で囁いてくる。
「やっと、分かった気がする。」
「え…?」
「私も、凜が好き。愛してるって事。
…歌おっか。」
「ひなちゃんも恥ずかしくなっちゃったの?」
「…。」
本当に可愛いのは、彼女の方だったみたい。
初めてのキスは、マシュマロみたいに甘くてふわふわしていた。
その相手がひなちゃんで本当に良かった。
彼女の事、本気で愛してるんだもん。
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