迎える時は彼女と共に ページ14
大晦日の夜。
凜のお母さんから貰ったみかんを二人で食べる。
箱から見繕って出してくれたので、その大きさや甘さも様々。
一つのみかんを二人で分け合ったり、食べさせ合ったり。
今年最後に過ごすそんな時間も、終わりを告げようとしていた。
スマホで時間を確認してから、テーブルの下の膝掛けの中で手を繋ぐ。
「年越しそば、美味しかった。
凜も久しぶりに家族でご飯食べたんじゃない?」
「うん。ひなちゃんと一緒にいる時でしか、
パパやママと話せないから。」
顔を合わせても、挨拶しかしないんだっけ。
「こんな部外者が凜と親御さんの橋渡しを
するって言うのも、不思議な話だけどね。」
「…部外者じゃないもん。」
え、と彼女の方に顔を向ける。
「ひなちゃんは、私の…。
未来のお嫁さんなんだもん。」
「……ふふ、そっか。
結婚、出来たら良いね。」
顔を赤く染める彼女を抱き寄せ、言葉を続ける。
「じゃあさ、凜。
私達が高校を卒業していっぱいお金貯まったら、
二人で一緒に住まない?」
今度は彼女がえ、と言って目を丸くした。
「私が就職決まったら一緒に暮らせる分は働くから、
凜は家事を頑張って欲しいの。」
「私が…。出来るかな…。」
「最初は出来なくて良いし、焦らなくて良いの。
分かる範囲でなら、私も教えてあげられると思うから。」
「一緒に、か…。
そうなると良いなぁ…。」
「もしそうなったら、私が凜の親御さんに説得するから。
いつになるか分からないけど、その時まで待っててくれる?」
彼女は俯いた顔をそっと上げて微笑んだ。
「……うん、ずっと待ってる。」
時刻は十一時五十五分。
普段の私達なら眠くなる時間帯だが、そうはならなかった。
「んっ、やぁ…!」
「ふふ、じゃあここは?」
「ひゃっ…、やらってばぁ…!きゃははっ…!」
私が一方的に、彼女を擽り続けているから。
そうしている内に、時間が近付いてきた。
擽る手を止め、スマホを見る。
「凜、そろそろだよ。」
促して画面を見せ、二人でカウントダウンを始めた。
「……五、四。」
「三、二、一。」
「あ…んっ…!」
「っ……。」
越えたと同時に彼女の頬に手を沿えて、こちらに向けて口付ける。
彼女も私に身を預けて応えてくれた。
そっと離し、改めて言葉を告げる。
「…あけましておめでとう。
今年もずっと一緒にいようね。」
「…ずるいよぉ。私が先に言いたかったのに。
今年も、らぶらぶしよ。」
二人で一緒に迎えた新しい年。
去年以上に、彼女を愛していかなくちゃ。
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