【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

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フシャァッ、とアルミラージが後方でおそらく私に悪意を持っていた生徒に威嚇する。タイミング的にはばっちりだったか。地面に突っ伏して急所である背中をがら空きにしてる今なら、どんな攻撃を受けても棄権せざるを得ないほどダメージくらいそうだからな。
後ろはアルミラージに任せて、私は必死に網を潜り抜ける。あちこち引っ掛けたり、ヒールが引っかかって脱げそうになったりと四苦八苦していたが、どうにか一位をキープしたまま潜り抜けられそうだ。

次は、プール……プール？

「プール！？」

ランニングコースのど真ん中。道が続くはずのそこには、競泳用とかでよく見る縦長のプールが置いてあった。しかも見事にランニングコースに合わせてプールも10コースに分かれてある。
地面に埋まっているそのプールは、まるで元からそこにありましたよと当然のような顔つきだ。だが間違いなくさっき行われたリレーではただの地面だった。

「……流石世界屈指の魔法科学園……戻れアルミラージ！」

それぞれのコースの上には綱が張られている。まぁ、見ての通り綱渡りなのだろう。
バランス感覚に自信はないし、バランス補助の魔法もうまく扱えない。ので、
プールの端に円を描く。

「マーメイド、サポートをよろしく！」

円の中から出たのは赤くきれいな長髪の美女。下半身は藍色のうろこをまとった尾びれで、太陽の光に照らされ虹色に輝いている。

「嘘、人魚だ、初めて見た！」
「あれって絶滅危惧種なんじゃ……」

会場が一気にざわめくが、気にせずに私は綱渡りを開始する。
確かにマーメイドは絶滅危惧種だ。その血はどんな傷も跡一つ残さず癒し、その肉はどんな難病も癒す。そして彼女らを丸々一体食せば、不老不死が手に入る。
それはすべて事実だ。それのせいで彼女らは狩られ、絶滅危惧まで追い詰められている。
別に不老不死に興味はないので、こうやって何体か契約して保護下に置いている。契約を交わした精霊は万物をもってしても危害を加えられないので。

「ありがとうね、マーメイド」

プールに潜り、綱を一切動かないように固定してくれてるマーメイドに微笑みかける。
もうすぐ渡り終わろうか、というとき、大きな衝撃を感じた。

「A、あぶねぇ！」

エドの声が遠くからする。
バッと後ろを振り返るがもう遅く、綱は切られていた。
重力に逆らう暇もないまま、私はプールに飲まれる。冷たいとかより先に痛みが来て、思わず開いてしまった口から酸素が漏れる。

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