84ねむ ページ35
「今はなるほど、大神が借り物競争か。ん、生徒会の書記もいるな」
「そうです。リデルが先に走るみたいで……あ、テオ先輩は出ないんですか?」
「ん、出るぞ。リレーにな」
リレー……ってことは、会長と一緒か。お?これは好敵手と書いてライバルと読む?好きよそういうの。
「お、始まるみたいだぞ」
「あ、本当だ」
スタートポジションについたリデルを見ながら、先ほどのように発砲音を聞く。
ばっと我先に一番に躍り出たのは、やっぱりリデルだ。しかも誰も妨害しない。さすがに生徒会の妨害なぞしたら翌日には学園を追い出されていることを知っているのだろう、親衛隊の手によって。
ずるい気がしなくもないが、どうせ妨害したところで力の差は歴然なのでするも無駄なのだ。
すぐに手前にあった台までたどり着き、一枚の紙を手に取る。
ぴらりとその紙を開いて、しばらくリデルは茫然とその紙を見つめていた。
「アーチー様! 僕をお借りになって!」
「ずるい! アーチー様、どんな借り物にでもなって見せます!」
同じテントのリデルの親衛隊であろうチワワたちがこぞって手を挙げる。
借りられたいか?そんなに。いやまぁチワワと手をつないでゴールを決めるリデルは見たいけど。
「こっちに来るな」
「ん」
あははうふふと笑いながらゴールイン(二つの意味で)するリデルとチワワの妄想をしていると、テオ先輩の言葉で現実に引き戻される。
確かにリデルはまっすぐこっちに向かってきている。何なら目もあって、
「――あ、」
そういえば、リデルは私を借りるって、
「A、きて」
ぐ、と私の腕をつかまれる。そして有無を言わさぬ力で立たされ、そのまま私をエスコートするようにグラウンドまで降ろされる。
だがグラウンドに足をつけても困惑したまま動かない私を見て、リデルは首を傾げた。……が、すぐに「あ」と小さく声を上げてから、なんと、
「え、あ、ぇ、ひゃあ!?」
「じっと、してて」
内臓がくるりとひっくり返ったような浮遊感。支えられているのは背中と太ももの裏。
そう、俗にいう、お姫様抱っこだ。
グラウンドが今度は痛々しい悲鳴に包まれる。
その中を悠々と走るリデルとその腕に抱かれている私。
あれ?なんで私がチワワじゃないんだ?と現実逃避をそろそろ始める。
「ご、ゴール! 借り物を確認しま――た、『大切な人』!?」
阿鼻叫喚。
なんと、リデルは大切な人の借り物で私を選んだらしい。
両親様、
私萌えライフのどこで道間違えた?
140人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - アスヤさん» 最初から見ていただいて感激です……エド君ストライクと言っていただけで嬉しいです!これからもアスヤさんをきゅんきゅんさせられるような小説を書けるよう頑張らせていただきますね!コメント本当にありがとうございました! (2019年8月4日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
アスヤ(プロフ) - 作品最初から見ましたがエドくん好きです!どストライクです!更新無理せず頑張ってください! (2019年6月4日 22時) (レス) id: 85154871a9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 歩美さん» 大好きといっていただけで光栄の極みです!地毛がそっくりですと!さぞ美しい髪をされているのでしょうね。頑張らせていただきます、ありがとうございます! (2019年5月14日 13時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
歩美(プロフ) - 初めまして!シリーズを最初から読ませていただいています!!とても面白いのに、キュン要素をしっかり取り入れてもう大好きです。主人公の地毛が私にそっくりで感動しております。更新頑張ってください! (2019年5月13日 17時) (レス) id: 45ec4d7ed1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» あー泣かれないで!つティッシュ 書籍化……できたらいいですね!(無理)ありがとうございますお気持ちとてもうれしいです!エド!これからも絡ませていくしかない!亀更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2019年2月5日 22時) (レス) id: 30865517cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月8日 12時