【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

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「ほきゃああぁぁぁあああ！！」
「あれ、Aって着やせするタイプ？ 結構腰細いんだね」
「セクシャルハラスメントはんたぁあああい！」

地面にしゃがみ込み大きな円を掌で描きながらノックをするため手を伸ばす。

「クー・シーこの色魔の息の根を止めてぇえ！」
「待って待って待って待ってごめんなさい」
「今のはだれがどう見てもあなたが悪いですからね、アル」

必死で私の右手をつかみノックをとどめているアルくんをみて、ヴァーノンさんはあきれたようにため息をつく。
ふと気づいてあたりを見渡せば、どうやら私たちは例の第一校庭についたようだった。
移動時間はわずか五秒程度だろうか。本当に便利なんだな、この魔法。

「ごめんね、A」
「……次はマジでクー・シーに食わせるからね、その体」

恨めしそうに自分の体を抱いて、私はリデルの後ろに隠れることでアルくんから距離をとる。
申し訳なさそうな言葉とは裏腹に、結構へらへらしているアルくんは絶対悪いとは思ってなさそうだ。

「ほら、いつまでもはしゃいでないで。運動会が始まりますよ」

ヴァーノンさんのそのセリフに振り返れば、途端に上空に色とりどりの花火が散る。
火薬を使った火花じゃない、これは魔法の火による演出だ。見てみれば教師たちがそれぞれ魔具や杖を持って開会式の演出を担っている。
ほわぁ、と感嘆の吐息を漏らす。

急に空に影が差したかと思えば、突風がして思わず目をつむり足を踏ん張らせる。
細目でその突風などの正体を見ようとして、姿を確認した私の眼は見開かれる。

「うわぁ……！」

ヒュドラとリントヴルム。空を舞う二体のドラゴンを操るのは、言わずもがなアルバート先生だ。
優雅に空を舞う姿に感嘆するよりも先に、同時召喚、それも伝説のドラゴンを、成し遂げる先生の技量に舌を巻いた。
伊達に桜閃学園の教師をやっていないわけである。

「それでは皆様、心行くままに今日の運動会をお楽しみください！」

そんなヴァーノンさんの声に、わぁっ、と生徒の声も湧き上がる。
私の心も、珍しく興奮を抑えられない様子だ。すごい、ところに来てしまったと思ってしまったのは今日で二度目だ。

「……じゃあ、A……また、あとで」
「あ、うん、皆さん、また！」

イベント中は各自自由行動なので、クラスのテントに戻ることができる。
ちなみに運動会の組み分けはクラスによって分けられている。エドと私やアルくんが赤、リデルが白でヴァーノンさんと会長が青だ。

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