【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

78ねむ ページ29

アルくんのその一言で、その場中の視線が私にバッと集まる。
あぁ流石に一般生徒もわかってるのか。私が今一番制裁の対象になっていること。まぁ、風紀の腕章をつけたリクカイ兄弟を後ろの携えてるからね、それなりに牽制になってるんじゃないかなとは思うよ。

「以上、ルール説明は終わりだよ。楽しく、怪我なく、笑顔で運動会終わらせようねー！」

にこーっと笑顔を浮かべて、アルくんはウィンクを決める。
きゃああああ！！と体育館の窓がびりびり震える声量で黄色い声があがる。ライブ会場か？最高ですごちそうさまです。うほー、鼻血出そう。最近は鼻血に耐性ができ始めた。悲しいことよな。相変わらず萌えは覚えてるけどね？

「それでは、校庭に移動しましょう。運動会が行われる校庭は第一校庭となります」
「……いくつ校庭があんの？」
「……五個」

ぼそりと私の耳にささやいたリデルの言葉に耳を疑った。
初日から生徒会の仕事で忙しくてゆっくりと校舎を見回ることができず、だが一応何となくわかったつもりでいたが五個校庭とか頭おかしいでしょ控えめに言って。

とりあえず移動しないことには話にならない。
生徒たちはそれぞれ瞬間移動用の魔法陣を描き始め、体育館が光に包まれる。私も副会長の描いた魔法陣の中へひょこ、と入って周りを見渡した。瞬間移動の魔法陣なんて始めてだ。たぶん私もその気になれば取得できるし、今度暇があれば勉強してみよう。

「に、しても移動用の魔法陣なんて、どれだけ遠くにあるんです？」
「桜閃学園はそのスケールのでかさと必要な設備の膨大さのせいもあって、たいていの施設等はすべて学園外にあるんですよ。必要があれば教師たちが魔法陣で移転を手伝ってくれるはずです」
「はー、しみじみ間違ったところに来てしまったって思います」
「本当だな、新入り」

会長うるさい。
流石にここで喧嘩したら副会長に魔法陣から追い出されるので心の中で毒づくと同時に受けの会長の妄想を繰り広げておいた。うん素晴らしい。

「では行きますよ」

その言葉とともに魔法陣は光を増し、目を開けられなくなったころふわりと内臓がひっくり返るような浮遊感を感じる。

「ふゎうっ……！」

思いがけず悲鳴をあげて、バランスを崩しかける。すぐ後ろにいた誰かが私を支えてくれたおかげで事なきを得た。
足裏に地面を感じバランス感覚を取り戻したのですぐ御礼を言おうと振り向、

「大丈夫？ A」

にっこりと笑うアルくんが私の腰を抱いていた。

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